『1984年の歌謡曲』と、僕。

僕は…と言うか、家族も含め、うちではテレビというものを、殆ど観ない。
決して、テレビを持っていない訳では無いのである。リビングとは別階の、お座敷と言うべきか、8畳ほどの和室の片隅に、地デジのチューナーを取り付けた、4:3の小さなアナログテレビが一台、ポツンと置いてあるのだ。もし、子供たちがアニメなどを観たければ、その部屋へ出かけて行き、観終わったらリビングに帰って来る…そんな風になっている。

まあ、何処かで誰かと話をしていて、僕がそんなことを会話の流れで口走ってしまうと、大抵は驚かれる。「じゃあ、普段は何をしているのですか?」と言われるのだ。「何を?」と改めて訊かれなくとも、やることは幾らでもあるw
例えば、僕の場合には、CDやレコードで音楽を聴いたり、本を読んで考え込んだり、ねこを愛でたり、または、こうして文章をしたためたりしていれば、労働に勤しんでいる以外の時間の殆どは費やされていく。いわゆる余暇の過ごし方としては、まあそれで十分ではないか、と思っている。
忌憚無く言えば、テレビの視聴とは(多くの番組の場合)、貴重な時間もエネルギー(電気)も、だいぶ無駄にしている行為であり、従って僕は、これを非生産的かつ非創造的な行動の一種と見做し、なるべくならば、それを避けようとしているのだ。そして、このことが、うちの方針(?)のひとつにもなっている。(…やや大袈裟な表現だけれども)

きっと、それは長年の習慣に由来するものなのだろう。僕は、子供の頃から、余りテレビは観ていなかったように記憶する。
父が当時、何故か大の巨人ファンで、特に夜は、いつもテレビを独占していた。他には、相撲の中継や、「野生の王国」のようなドキュメンタリー番組や、日中のNHKの囲碁将棋の番組や、ニュースに至っては一日に何度もとっかえひっかえ、父はよく観ていた。
だから、子供がテレビを観られることなど、父がたまの出張で家を空けているときくらいのものだった。例外は、「8時だョ!全員集合」くらいである。それは毎週観せて貰った。裏番組の「ひょうきん族」は、ついぞ一度も観たことが無いw

そんな訳で、僕は中学生、いや小学生の高学年ともなると、自室でラジオを聴いている時間が長くなった。6年生のときだったか、誕生日に、イトーヨーカドーでSONYのトランジスタラジオ(確か6石だった)を買って貰ったのである。
ラジオを欲しいと思ったきっかけは、学研の学年誌『科学』にダイオードラジオの組み立てキットが付いてきたことだった。(下の写真をご参照。でも、僕のは、紺色ではなく、緑色だった気がする…) 初めて作ったラジオを通じて、僕は「観る」ということよりも、断然「聴く」ということに魅せられたのだろう、と思う。

 出典:学研クロニクル

以来、誕生日の際には、何かしら「聴く」ためのものを買って貰っていた。SONYのBCLラジオ(ICF-2001、下の写真)だったり、以前の投稿にも書いた、AIWAの赤いラジカセだったり、同じくAIWAのヘッドホンステレオや、CDプレーヤーだったときもあった。
ICF-2001は10年とたたない内に不動品となってしまったけれども(…まさかSONYタxマーの仕業!?)、AIWAの製品たちは、多少ガタは来ていながらも、今でも使うことが出来る。

出典:Sony Japan

そんな訳で、僕は中高生の頃、テレビというものには殆ど見向きもせず(…でもまあ、音楽番組などは多少観ていた)、主にラジオやレコード、CD、カセットテープなどを好んで聴いていたのだ。そして、そんなときには、僕の両の眼は本や雑誌の活字を追っていたのである。
さあ、ここから本題に入ろうとしたら、もうとっくに1000字を超えてしまっているw

さて、何を書きたかったのか? つい先だって図書館で借りた、『1984年の歌謡曲』という本についてである(上の写真や下のサムネイルをご参照)。1984年といえば、まさしく僕が、音楽というものを、意識してせっせと聴き始めた時期に他ならない。
ちなみに、この本は続編だ。前作は『1979年の歌謡曲』という。こちらの本も読んでみたけれども、僕は1979年当時には、それほど沢山の音楽(歌謡曲)を聴いてはいなかった。まだ幼かったのである。だから、その本を読んでも余りピンとこなかったのだ。しかし、1984年は、まさしくドツボだw

この本の中では、1984年当時の様々なヒット曲を、当時の世相や国内の音楽状況、音楽業界と広告業界との絡みなどを通じて分析、評論している。50曲近くが紹介されているけれども、実際に曲を聴きながら読めば、当時の雰囲気や空気感の中に入り込めること請け合いである。今は実に便利なことで、ネット動画で各楽曲を探し出して聴くことが出来るだろう。

しかし、こんなCDもあるのだ…『ザ・ベストテン 1984-85』である。(下の写真は、裏面。おもて面は、上の写真をご参照)

収録曲18曲の内、1984年の曲は8曲だけなのだけれども、『1984年の歌謡曲』の本を片手に聴くのに持ってこいのCDだw ちなみに、この『ザ・ベストテン』は、下の様なシリーズになっている。

…という訳で、この『1984年の歌謡曲』という本。すこぶる面白い。
欲を言えば、第3弾も出して欲しい。1979年→1984年ときたら、次はやっぱり、1989年だろう。昭和から平成になり、時代の大きな転換点となった年だ。スージー鈴木氏には、是非とも今から期待をしたい、と思っている。

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この本の帯もまた、良い味を出しています。(しかし、多くの図書館は何故、帯を捨ててしまうのだろう?以前も書いたことなのだけれども。甚だ疑問なのだ…)

スージー鈴木著『1984年の歌謡曲』
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