僕のパソコン80年代記…PC-88編(3)

無事、高校に受かった僕は、憧れのPC-8801mkIISRという、当時のNEC8ビットパソコン最上位機種を買って貰ったのである。モデル30という、5インチ・フロッピーディスクドライブを2台載せたタイプである。

普通にプログラムを保存する分には、フロッピーディスクドライブは1台あれば十分だ。でも、僕は雑誌などで予め入念に下調べをして、ゲームソフトによっては、2台あると便利だということを知っていた。
1台目のドライブに、ゲームプログラムのフロッピーディスクを入れたままにしておき、その一方で2台目には、ゲームの途中経過のデータを保存するためのフロッピーディスクを入れておく、というような使い方である。データ保存の度に、フロッピーディスクの抜き差しをしないで済むのだ。
つまり、ディスク入れ替えの手間を惜しむために、当時はまだ非常に高価だったディスクドライブを2台も載せたタイプを、わざわざ買って貰ってしまったのだ。脛かじりであるw


(PC-8801mkIISR モデル30。出典:NAVERまとめ「テグザー100の秘密」)

さて、僕は毎日、学校から帰宅するとすぐに、パソコンを置いてある机に向かう、という日々が続いた。
以前の投稿でも書いたけれども、僕は小~中学生のときには、ラジオを聴くことに夢中になっていた。誕生日に、トランジスタラジオやBCLラジオを買って貰って、国内外の(特に遠距離の)ラジオ放送を聴取することに熱中していたのだ。

だから、雑誌も『ラジオの製作』という、電子工作やラジオの遠距離受信(BCL)を中心とした内容の月刊誌(マイコンの特集が載ることもあった)を購読していた。
しかし、高校生になると、余暇の時間は、こうしてパソコンをいじることと、そしてラジオの方は、主に地元のAM放送とNHK-FMだけを聴くことに費やされていった。遠距離放送の受信は、もう殆どやらなくなったのだ。

そうなると、『ラジオの製作』を読んでいても余り面白くなくなってきてしまった(…「ラ製」(元)編集部の皆さん、ゴメンナサイ)。
そこで僕は、同じく電波新聞社から発行されていた、『マイコンBASICマガジン』という月刊誌の方へ乗り換えたのだ。こちらは、パソコンのプログラミングや、ゲーム関連の情報を扱う雑誌だ。高校生の間は、この(略して)「ベーマガ」を、毎月欠かさず読んだのである。


(ベーマガの表紙。出典は、NAVERまとめ「マイコンBASICマガジンの思い出」)

この雑誌は、大多数のページが、読者が投稿した自作ゲームプログラムの紹介ページ(プログラムリストが掲載されていた。下の写真をご参照)で占められ、巻末の方の3分の1くらいのページ数を割いて、パソコンで音楽を鳴らすためのプログラムや、市販のパソコンゲームソフトの紹介および攻略記事に当てられていた。
前回も書いたように、僕には、パソコンを買う上での目的が3つあった。その中では、プログラミングよりも、特に、パソコンゲームと音楽(コンピュータミュージック)の方に夢中になっていったのである。


(ベーマガの投稿プログラム誌面。出典:NAVERまとめ「マイコンBASICマガジンの思い出

この『マイコンBASICマガジン』には、パソコンゲームの分野と、コンピュータミュージックの分野に、それぞれひとりずつの、人気ライターがいた。このおふたりの記事を読むことが、僕がこの雑誌を毎月買う上での、大きな楽しみとなっていったのである。
そして、その楽しみがそのまま、僕をそちらの方面へと向かわせるための、一種の推進力となっていったのだ…。

そのおふたりとは、「ベーマガ」の読者だった方にはお馴染みである。ゲーム評論家の山下章さんと、ゲームミュージック・コンポーザーの古代祐三さん(こしろゆうぞう、当時のペンネームは、YK-2)である。

山下章さんに関しては、先達てご紹介をした、『レジェンド パソコンゲーム80年代記』(佐々木潤著)でも、当時のベーマガの記事や著書の写真と共に紹介されている。(上の写真をご参照)
当時のパソコンゲームのプレーヤーたちにとって、まさに「一筋の光」のような存在だったのだ。山下章さんは、私立開成高校を経て、この当時、一橋大の現役大学生だった。その並外れた知性で、どんなパソコンゲームでもバンバンとクリアし、分かりやすくも楽しい記事を毎月書いて下さったのである。

そして、古代祐三さんもまた、当代最高レベルのFM音源の使い手として、ベーマガの誌面だけでなく、ゲーム音楽の世界そのものの人気まで牽引していったのだ…。(次回に、つづく)

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古代祐三さんが、如何にFM音源の優れた使い手であったか、ということは、このYAMAHAのDX7というシンセサイザーの発売30周年を記念した本に、並み居る有名ミュージシャン達と共にその名を連ねていることからも明らかでしょう…。

『DX7 30th アニバーサリーブック』
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