僕が最近よく訪問しているブログをふたつ…(その2)

トップの写真は、実家の2階からの眺めである。

1年前の、丁度この時期だった。ふと帰りたくなって、週末、車を走らせて実家に行ったことがあったのだ。
そこでは、何をするわけでも無く、本を読んだり、あとは自転車に乗って、図書館やショッピングモールを散策したり、いつもの週末と余り代わり映えのしないことをした。

突然の帰省に、母はとても喜んでいたけれども、父は相も変わらずの石頭ぶりで(苦笑)、こちらが辟易してしまった。気性も、ちっとも変わらない。若いときに何か大事なことを幾つか、学び損ねてしまったまま今に至る…いつも、そんな風に見えて仕方のない人なのである。

思えば、この2階からの眺めも、僕が小学生の頃から、もう40年近く殆ど全く変わりがない。向こうに見える小さな丘のような山も、開発されるわけでもなく、あれ以上に木が鬱蒼と生い茂るわけでもなく…。まるで、変化を拒んでいるかのようである。

さて、ブログのご紹介、ふたつ目だ。前回は、工学博士で作家の、森博嗣氏の『店主の雑駁』を取り上げた。

森博嗣氏は、20年くらい前のデビュー以来、色々なところでブログを書き続けておられる作家だけれども、今回ご紹介する方も、長く書いておられる。毎日更新で、今年で17年目になるブログだそうだ。
ただし、森博嗣氏のような有名人ではない。でも、この方も理学博士(物理学)で、博士号ホルダーという点では、森博嗣氏と共通点がある。

そのブログは、『ピンちゃんの赤貧日記』という。筆者のピンちゃんは、出身も在住も、北海道のかたである。


(出典:『ピンちゃんの赤貧日記』)

ピンちゃんを、簡単にご紹介すると、高校卒業後、大学と大学院で物理学を専攻し、博士号を取得。その後、九州で教職に就いておられたそうだけれども、色々あって、その仕事を辞め、北海道へ帰郷。それが、10年くらい前のことらしい。
北海道に帰ってからは、工事現場で交通誘導をするアルバイトをしながら、一人暮らしを続けていたようである。それが、今年の春くらいまでの話だった…。有り体な表現だけれども、波乱万丈の人生である。

僕は、数年前から去年の年末くらいまで、このブログを毎日のように訪問して読んでいた。内容の多くは、仕事でこんなことがあったというエピソードや、お酒好きのピンちゃんの身辺雑記(こんな本を読んだとか、呑みながら、こんなTV番組を観た、など)、あとは時事ネタに対する論評など、である。
僕が思うに、ピンちゃんも、やはり博士号まで取った方だけあって、文章が理知的で上手く、分析に優れ、知識も豊富のようである。それに惹かれて読んでいたのだ。

でも、近年度々繰り返されていた、「のんで、ツイッターにクダ巻いて書き込んで、いつの間にか寝てました」的な日々の繰り返しに、僕は多少飽きてしまい(…ゴメン)、数ヶ月の間、訪問をサボっていたのである。
そして、今年の初夏だっただろうか、久し振りにピンちゃんのブログを見に行ってみたら、何やら様子が全く異なっていたのだ。あれ程お酒好きだったピンちゃんが、呑んだ話を全く書かなくなっていた。代わりに増えたのは、通院や薬の話題。

数週間分を遡って読んでみて分かった。ピンちゃんは、癌におかされたのだった…。末期だそうである。ブログは、その闘病記に様変わりしていたのだ。これは、ショックだった。

今は、ピンちゃんを応援する気持ちで、ブログの投稿を読んでいる。ピンちゃんは、仕事を辞めて入院ののち、いまは自宅療養を続けているそうだ。自宅では、15年ぶりくらいに物理学の教科書を紐解き、軌道計算などの勉強を再開している、と書いている。

僕も、高校生の息子が毎日、理科(物理と化学)や数学の勉強を頑張っているのを見ているのだ。ピンちゃんは、僕なんかよりは、だいぶ年上のかただけれども、そうして好きな物理学の勉強(…と言うよりは研究だろうか)を日々楽しんで欲しい、と思っている。

癌は現在、抗がん剤の効果もあって、病状が安定しているようだ。何よりだ。
僕も、もし同じように重い病気の身になったら、毎日何をしながら暮らすのだろうか?やはり、今と変わらずブログは書くだろうなあ。じゃ、あとは?語学でもやるだろうか?ピンちゃんのブログを読んでいると、ふとそんなことも考える。

取り敢えず、今の僕は、自分の息子を大学にしっかりと送り出さなければならない。あわよくば、博士号(やはり物理学)を取るところまでは見届けたいと思う。
先達て、ピンちゃんのブログのコメント欄に、「実は、僕の息子も、物理が大好きです。英語は苦手ですが。云々」と書き込んだら、ピンちゃんからご返事を頂いた。「研究者を目指すならば英語は必須」等のアドバイス付きで。早速、息子にも伝えておいた。どうも有難うございました。

そうだ、そうだ。僕には、息子に英語を勉強させるという喫緊の問題があるのだった。まずは、それをなんとかせねば…なのである。

…というわけで、『ピンちゃんの赤貧日記』。是非、訪問して、ピンちゃんを応援してあげて下さい…。

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AmazonのKindle日替わりセールのページで存在を知り、図書館で借りて、目下読んでいる最中の本です。お金持ちとは何か、という定義から始まって、その実像や行動原理などを探る、という内容。まだ読みかけだけれども、色々なエピソードが登場して、実に興味深い。これは、おすすめかも。

加谷珪一 著『お金持ちの教科書』
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