これは良い。『賢治童話ビジュアル事典』…

また、不思議な夢を見た。
僕は、名前のよく分からない、あるリゾート地に来ていた。孤島のようである。

到着してみると、島の代表者を決める選挙のようなことをやっていた。ポスターの掲示場がホテルの前に設置してあったのだ。しかし、候補者がおらず、それはずっと空白のままだという。
そこで、僕は、一緒にこの島に来た仲間の人たちと相談して、自分たちが立候補してしまおう、ということにしたのである。考えてみると、かなり無茶苦茶な話だけれども、夢なのだから仕方がないw

顔写真入りのポスターをあっという間に用意し、掲示した。幾つかのマスがポスターで埋まると、島民たちがわらわらとやって来て、ホテルの前がカーニバルのようなお祭り騒ぎになったのである。
やっと候補者が出た、ということで喜んでいるようだ。僕たちも、一緒になって騒いで楽しんだ。でも、実際に投票が行われたのかどうか、とうとう分からなかった。ここで場面が変わってしまったからである。

次は、ホテルの一室にいた。何故か畳敷きで、布団が敷いてある。僕は、その布団の上に、iPadのような端末を使って、ネット検索をしている。
日本のある有名人(やんごとなき、あるお方)が、家出というか失踪をしたというニュースがあったので、それについて調べているのである。

すると、動画が見つかった。その方が失踪中に、自撮りで(?)撮ったというものだ。ご本人が写っているのである。それがネットにアップされていたのだ。
僕は、それを何度も見て、内容をよく確かめようとした。しかし、旅の仲間のひとりが、パーティーで弾くピアノの練習をせよ、と言う。出し物のようである。はて、何のパーティーなのだろう?

よく分からないまま、僕はその部屋に置かれていたキーボードで、「聖しこの夜」を弾いて練習した。普通に弾いたのではつまらん、と思い、ジャズ風に弾き直したら、これが上手くいった。
もう、これで十分だよね?と、その仲間に弾いて聴かせると、その人は部屋を出て行った。さあ、動画の続きを見よう…としたら、夢がその辺りでふっつりと途切れたのである。


トップの写真は、『賢治童話ビジュアル事典』という本。事典というよりは、大きさも、中身も、図鑑と呼ぶに相応しい本である。図書館で借りた。

以前、別の市の図書館で、この本を見つけたことがあった。嗚呼、これは面白いなあ、と思ったのだけれども、禁帯出(貸出不可)だったのである。
概ね、どの図書館でも、辞典とか、事典とかいったようなタイトルが本に付いてしまっていると、禁帯出になることが多い。置き場所も、十把一絡げで参考図書のコーナーになってしまう。辞書や名鑑などを置くための書棚である。

しかし、ある市の図書館では、その辺りの線引きが緩いのかどうなのか、意外と借りられることがあったりもする。
この『賢治童話ビジュアル事典』も、そうであった。その市の図書館では、この本が禁帯出ではなかったのである。そこで、『銀河鉄道の父』を読み終えたことだし、と思い借りてみたのだ。

大きさは、丁度、学研の図鑑と同じ大きさだ。厚さも、そのくらい。手に取っただけで、何処となく懐かしく感じてしまうのは、そんな判型や厚み、重さのせいもあるのだろう。

もし狙ってそうしているのだとしたら、これはかなり秀逸なことで、僕はそこに上手く嵌ってしまったことになるw
ちなみに、版元は岩崎書店という。「『昔しらべ』に役立つ本」と銘打って、他にも事典などを出版しているようだ。

中を見てみると、これが賢治ワールド全開なのである。豊富な図版で、文字通りビジュアルで見せてくれる。
それだけでなく、それぞれの言葉の意味のみならず、賢治が生きていた時代では、その言葉や物がどのように使われていたのか等の時代背景にも触れられている。

上の写真は、「雨ニモマケズ」で有名な、「玄米四合」のページである。「食べものの章」に載っていた。
ここでは、まず「基本は一汁一菜」という小見出しで、当時の食事の基本についての説明がある。あと、「玄米四合は食べすぎ?」という説明のところも、興味深い。重労働の男性は六合食べていたのだそうだ。だから、四合は質素な量、とも。

他には、「光と空の章」「土と草の章」「しごとの章」「くらしの章」という具合にカテゴライズされている。あと、幾つかのコラムがあり、そこで補足的な説明がされている。

上の写真は、「賢治のオノマトペ」というコラム。「かぷかぷ」「もかもか」「ギギンザン、リン、ギギン」といったような、賢治特有の擬声語や擬態語などについて用例と解説があるのだ。至れり尽くせりであるw

惜しむらくは、「童話」の事典なので、宮沢賢治の詩の中に登場する事物は余り掲載されていないことだろうか。例えば、『永訣の朝』に出てくる、「青い蓴菜(じゅんさい)の模様のついた陶椀」などが載っていたら実に良いのになあ、と思うのである。
まあ、その辺りについては、続刊で『賢治詩集ビジュアル事典』といったような書籍を期待して待つことにしよう…。岩崎書店さま、是非とも宜しくお願いいたします。

ちなみに、この『賢治童話ビジュアル事典』は、2016年9月の発行。まだ1年ほど前のことである。きっと、次のビジュアル事典は、目下制作中なのかも知れない…。待とう。

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お値段はやや張りますが、フルカラーで充実の一冊。宮沢賢治作品の読書のお供として、きっと一生使えるでしょう。

『賢治童話ビジュアル事典』
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