今年度の高校国語便覧を見る。いやあ、これは内容が多彩だなあ。僕が使っていたものとは結構違うのだ…

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娘が今年、高校に入学する。入学式は来週なのだけれども、教科書は、先月の入学候補者説明会で購入済みだ。僕は早速、英語やら国語やら、地図帳やら、本人よりも先にパラパラと眺めたのである。

その中で、取り分け僕の興味関心を引くのは、国語便覧だ。国語の授業で使用する、年表や口絵などの資料が入った、謂わば副教材。僕にとっては、これはちょっとした百科事典なのである。
トップの写真は、右側が、今回購入した娘のもの。左側は、僕が高校の時分に使っていたものだ。表紙は古色蒼然、箔押しが掠れている。サイズも小さく、殆どがモノクロ印刷だ。しかし、今でも手元に置き、たまに参照している。

中を開いてみると、「近代詩人系図」というページに手製のインデックスを付けてある。ほお、こんなことをしていたのだ…。僕は20代の頃、黒田三郎や田村隆一、吉増剛造など現代詩人の作品を読み耽っていた。そのためであろうか。

さて、娘の「新国語便覧」は、「カラー版」と銘打っているだけあって、ほぼ全てのページがカラー印刷、実に華やかなものである。「現代文の学習」という章を見ていくと、明治以来の文豪たちが年譜とともに並ぶ。
森鷗外から始まって、夏目漱石と続く、暫く捲っていくと、今度は芥川龍之介太宰治など。いずれも、3~4ページずつを割いて、生涯と作品を解説している。

その終わりの方に、我が宮沢賢治サンが登場した。2ページだけなのだけれども、扱いは大きい。13歳から晩年の35歳までの顔写真が載っている。あと、愛用していたセロの写真も。これは、良い資料である。

さて、この便覧、明治大正期の作家ばかり載っているわけではない。現代の比較的ポピュラーな面々も紹介されているのだ。
例えば、「主要小説家一覧3 現代の人気作家」というページには、赤川次郎氏や伊坂幸太郎氏、石田衣良氏、乙一氏、京極夏彦氏、宮部みゆき氏などなど、多数の人気小説家が顔写真やプロフィールと共に掲載されている。

そこに、何と我が森博嗣センセイを見つけたのである。これは、嬉しいw ちょっとミーハーに(…死語)喜んで、娘に見せてしまった。森センセイ原作のコミック『赤目姫の潮解』と一緒にパチリ。

しかし、このプロフィールには、少々の間違いがある。ファンであれば直ぐに気づくであろう。さて、上の写真の中の文章をよくご覧くだされ…。
「九六年、『すべてがFになる』を雑誌に投稿」と書いてある。森博嗣センセイは、デビューの経緯について度々エッセイなどで綴っておられる。それによると、講談社に投稿してデビューのきっかけになった作品は、『冷たい密室と博士たち』なのである。

森センセイは現在、「店主の雑駁」というブログを毎日更新している。たまたまだけれども、数日前にもデビュー当時のことについて書いておられた。講談社の当時の担当者と久方振りに会ったからである。
ブログのその投稿を読むと、「『冷たい密室と博士たち』を投稿したら、(講談社の)K木氏が会いにきて」と書いてあることが分かる。そして、「編集者に会ったあとに書いた初めての作品は、4作めの『すべてがFになる』なのです」「『F』が発行され、デビューしたのは(1996年)4月のことです」とも書かれている。

つまり、「雑誌に投稿」したのは『冷たい密室と博士たち』の方であり、それは出版が一旦保留されて、編集者に依頼されて4つ目に書いた『すべてがFになる』がデビュー作として刊行された、という経緯なのである。
流石、森博嗣センセイ、デビューの経緯も一筋縄でない、ちょっとややこしい時系列になっているのだ。いずれにせよ、この便覧の記述は少し正確さを欠いているのでは。「九六年、『すべてがFになる』でデビュー」という記述で良いと思うので、そのうち直してくれないかなあ…。

さてさて、この便覧に載っている他の作家さんのご紹介をば。僕の主観で、おふたりをセレクト。

「主要小説家一覧2 昭和中期~平成」に掲載されいる、福永武彦氏。芥川賞作家、池澤夏樹氏の父上でもある。僕にとっては、米国の文豪、エドガー・アラン・ポオの翻訳者としてお馴染み。僕は、英詩も好きなもので。

ポオの英詩は、「アナベル・リイ」がとにかく絶品。貧困の末に若くして亡くなった妻への思いをしたためた、と言われている切ない内容の悲歌である。
僕は、数多あるこの詩の和訳の中でも、福永武彦氏のそれが最も好きで、学生の頃は日に何度も読み返したものだ。自分で訳してみたこともある。そのときのノートが見当たらないのが残念なのだけれども…。

もうおひとりは、十数年前、30代で突然夭折してしまった、鷺沢萠さんである。確か、僕の朧な記憶では、風邪を拗らせて、市販の感冒薬を毎日飲んでいる内に、亡くなってしまったのだ。

自死であった。この当時、鷺沢萠さんはブログか何かに、風邪がなかなか治らないということや、ある品名を挙げて、その風邪薬を毎日飲んでいることなどを綴っていた。その薬が何か影響したのだろうか…?と、訃報を聞いた当時、ふと感じたものだった。

上の写真に写っている『帰れぬ人びと』が芥川賞候補になるも、受賞は叶わなかった。この本には、女子大生時分の鷺沢さんの写真が載っている。上智大学在学中の撮影だろう。

便覧のプロフィールにあるように、鷺沢萠さんの本名は、松尾めぐみ。お父上は、百科事典などを出版していた会社の社長(その姓も確か松尾だったと記憶…)であった。コーキ出版という。そこが刊行していた「アカデミア」という百科事典が、一揃い僕の実家に置いてある。

僕は、小学生高学年くらいから中学高校くらいまで、「アカデミア」を読んで育った。確か、セールスマンがうちにやって来て、人の良い(?)うちの母がその場でポンと買ったのである。20万円くらいだったか、どうか。


(「百科事典「アカデミア」。上の写真は拾いもの)

それで、「時間のあるときに僕が読むから大丈夫だよ」とか何とか言って、「アカデミア」は、僕の部屋の本棚に置くことになった。文学、地理、歴史、数学、科学、音楽、語学…と凡ゆるジャンルを網羅し、全24巻だったのである。
興味のある巻ばかりを手に取って、僕はこれをよく読んだ。特に、歴史の巻は、中学の社会科の予習に最大限活用した。良く勉強していると、先生に感心されたものだw

そんな訳で、鷺沢萠さんは、お世話になった百科事典の出版社の娘さんとしても、思い入れのある作家なのである…。その「アカデミア」、今でも実家で、当時と同じ本棚に並んでいる。


下の写真は、昨夜撮った東の空の月。夜になっても、春霞が酷く、星のあまり良く見えない夜であった。月も見えないのかと思っていたけれども、帰宅中に昇っているところを見かけたのだ。

春期講習中で疲れていたせいか、ズームは控え目にした。ちょっと距離感を出してみたくなったのである。だから、小さめ。でも、例によってSnapseedで加工して、クレーターを浮き上がらせた。

上は、就寝前に撮った。左上には同じ月が、右下には、やや分かりにくいけれども、木星が写っている。夜半には、春霞も幾分引いて来て、このように木星が見えて来たのである。
怒涛の春期講習も、あと少しで終わり。その後は、ちょっと休めるだろうか?何とか乗り切るべく、頑張っていこうと思う。

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