僕にとって生涯ナンバーワンの映画、『アマデウス』のBlu-rayをようやく買ったのだ…

トップの写真は、午前中に撮った、本日の陽射し。まるで、夏の強いそれがとんぼ返りして戻って来たかのような、実に暑い日中である。秋が少々、遠のいてしまったかも知れない。
またまた暑くなるのには、もううんざりなのだけれども、何とか我慢しながらやり過ごそう。夏期講習の仕事も、あともう少しだ…。

先達て書いたように、今夏もネット通販で、三ツ矢サイダーを箱買いした。家族みんなで、冷やして飲むためである。すると先日、ふた箱セットで買ったもののうち、ふたつ目の箱の下の方から紙が出てきた。
上の写真で、サイダーの缶の先と段ボールの間に、何か白いものが挟まっているのをご覧いただけると思う。これが、その紙である。取り出してみると、下の写真のような、納品書と丁寧な、お礼状がわりのカードであった。

サイダーの段ボール箱には、2枚の紙をこの位置まで挿し込む隙間は何処にもないのである。箱を一旦開けた形跡もないようだ。さて、どうやって缶と箱の間に入れたのか?少し考えてみたけれども、分からない。僕にとっては、この夏のちょっとしたミステリー(?)となった…。


さて、生涯を通じて、もしベストの映画を一本だけ選ぶなら?と言われたとしたら、何を選ぶだろうか。
僕だったら、まあ色々とあって多分迷うけれども、そんなときにはこれ、というものを既に決めてある。ミロス・フォアマン監督の『アマデウス』である。



(『アマデウス』の一場面。これらの写真は、ネットの拾いもの)

一般的に、映画を成立させる要素は、主に3つあると思う。ストーリーと、画づくりと、音楽だ。
この『アマデウス』の場合、ストーリーは、名手ピーター・シェーファーの戯曲で、文句なし。画は、役者の演技といい、撮影や演出といい、これも文句なし。
音楽は、モーツァルトの音楽を、ネビル・マリナーの指揮で聴かせるのである。オケは、アカデミー室内管弦楽団。これも、文句のつけようがない。つまり、これは限りなく完璧に近い映画なのである。

僕は、この映画の劇場公開版とディレクターズカットを、DVDで観てきた。DVDの登場以前は、レンタルビデオや、NHKでの放送を録画したビデオテープだった。
そして、思うところがあって、とうとうBlu-ray盤(DVDとの2枚組)を買ったのである。家で映画を観るならば、DVDよりもBlu-rayの方が断然良い、と考えている僕にとっては、我ながらやや遅きに失した感じだった…。


(Blu-rayにはディレクターズカット版、DVDには劇場公開版が収録されている)

このBlu-rayの『アマデウス』は、この作品では少々珍しい吹き替え音声付きの盤なのだ。民放TVで放送した際に収録された音声を利用しているらしい。僕は、TVではNHKで放送された字幕版しか観たことがないので、吹き替え版は未見である。
また、おまけとして、ミニポスターとカードがついている。カードを裏返すと、そのままそれぞれの登場人物の吹き替えを担当した方たちが現れるのだ。なかなか粋な試みだと思う。

さて、『アマデウス』は、もう30年以上も昔の映画である。そのため、フィルムグレインなどによる画質の古さは否めないけれども、ディレクターズカット版はデジタルリマスターの効果もあって、Blu-rayで見るととても美しく感じられる。
かたや、劇場公開版(付属のDVD)の方は、恐らくリマスターが施されていないのであろう。フィルムグレインが幾分目立ち、パチなどのノイズも時折出てくる。また、全体的に輝度の暗い画像のままである。

また、Blu-rayの方は、収録されている音声のレートがDVDよりも高く、そのためにサラウンドも実に良く効いている。(吹き替え音声に切り替えると、単なるステレオになってしまうのが惜しい…)
特に、オーケストラの低音部分がズン!とした重みのある音で表現されているのが、実に良い。この映画は、音響効果がモノを言うからである。やはり、家ではBlu-rayで映画を観るべきなのだ。その思いを新たにする。

これで、『アマデウス』は、僕の手元に3バージョンが揃った。劇場公開版のDVD(なんと両面一層仕様)は見当たらなくなってしまったので、図書館で借りていたもので代用して写真を撮った。(上の方に挙げた写真をご参照)
あと、NHKを録画したビデオテープも加えれば、全部で4バージョンがあるのだ。それから、サントラのCDもある。この映画ばっかりは、いつまで経っても、僕にとって、愛着というものがなくならないのである…。

そうそう、『アマデウス』では、僕にとってやや不思議なことが、ひとつあるのだ。この映画の中では、室内の照明の小道具として、蝋燭がよく登場する。
例えば、人物が燭台を手に持っていたり、テーブルやピアノの上に置いてあったりする。また、劇場のシャンデリアとして多数使われている場面もあるのだ。

その蝋燭の色が、映画の始まった当初は黄色っぽく、中盤では徐々に白っぽくなり、終盤では青白っぽくなってくる…僕は、長年そう認識していた。『アマデウス』を初見以来、ずっとそのように思って来たのである。
流石、名匠ミロス・フォアマン監督。モーツァルトの生命力が衰えゆく様を、この蝋燭の火の色彩で象徴的且つ印象的に表現しているのだ。そのようにも考えていた。

ところが、10年ほど前に、DVDのディレクターズカット版を観て、蝋燭の火の色に、上のような変化が見られないことに気づいた。そのときは、バージョン違いの映画なので、編集やリマスターで色味が変わってしまったのだろう、と思ったのである。
それで、最近、図書館で劇場公開版のDVDを借り、改めて観返してみたところ、あの蝋燭の火に関する記憶は、完全に僕の妄想(?)であることに気づいたのだ。つまり、僕の脳内演出だったのであるw

これで、思い出したことがひとつある。嘗て大林宣彦監督が、ある自作品について、ファンのひとりから、「あの場面で屋根の上を歩いている猫、とても可愛いですね」と言われたことがあると語っていたのだ。しかし、その当該の場面に、猫は写っていない。
大林監督は、そのことを踏まえて、映画とは最終的に観ている人の想いの中で作られるものだと思う、というようなことを仰っていたのである。きっと、僕の『アマデウス』の中の、蝋燭の火も同様なのであろう。今は、そんな気がするのだ。

まあ、斯様にして語り始めたら尽きない、『アマデウス』。やはり、僕の生涯ナンバーワンの映画作品なのである…。

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あと、ピーター・シェーファーとミロス・フォアマンの音声解説の吹き替えも収録されています。勿論、本編は通常の字幕版も収録。何回も味わって楽しめる盤になっているというわけです。

『アマデウス 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ(初回限定生産/2枚組) 』
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