仕事場でお別れに貰ったお菓子と、ハリソン・フォードが如何に名優であるかについて…

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本日は日がな一日雨降りだから、という訳ではないのだけれども、午後からは家でゆっくり。塾の仕事の方が休みなのだ。

朝の仕事場で、パートのおばちゃんがひとり辞めていった。勤務時間がとても早い時刻からの仕事なので、様々な理由で続けられなくなる人がいる。大体2ヶ月にひとりくらいの割合で入れ替わっているだろうか。
そのおばちゃんは、お菓子を詰めた小さな袋を銘々に配って行った。これまで辞めて行った人は大抵、お煎餅やクッキーを1〜2枚ずつ配っていたものだったので、こんな風に丁寧に包装してあることには少し驚いた。(トップの写真が、そのお菓子が入った袋)

まあ何かとそそっかしい感じの方だったけれども、なるほど人はこうして印象のバランスというものを(最後になっても)取ることが出来るのだなあ、と僕はそのお菓子を頂戴しながら感じ入ってしまった。
そう言えば、最近入ったばかりのNさん(男性)がここ数日、朝のこの仕事に来ていない。最後に見かけたのは一週間くらい前。その日、Nさんは途中で体調が悪くなり早退したのだった。まだ結構若い人である。

本職は、都内のメーカーに勤務するサラリーマンなのだという。割と大きな企業だ。どういった理由なのか分からないけれども、その会社の出勤前にこちらで仕事をして行くのだ。大変だっただろうと思う。
きっと、無理をして疲労が溜まっていたのかも知れない。ときには地方への出張という日もあったようである。「このあと、新幹線に乗ってxxまで行くんですよー」と言っていたこともあったのだ。

暫くこちらの仕事には来ていないので、このままフェードアウトのようにして辞めてしまうのかも知れない。もしかすると、上役の方には既に退職の連絡が入っているのかも。
かなり仕事の覚えが早くて飲み込みの良い人だったので、居なくなってしまうのは残念だ。僕とは色々と話も合ったので、尚更にそう思ってしまう。ここではこんな風にして、突然辞めてしまうというケースもあるのだ…。


先日、実家から野菜などの食品が入った荷物が宅急便で届いた。開けてみると、その中には、ドリップコーヒーの袋がふたつ。

これは、去年の10月だっただろうか、そのとき実家から送られて来た荷物の中に入っていたものと同じコーヒーだ。その後、母がこちらの方に来たときに、僕が「あれは今まで飲んだどのドリップコーヒーよりも美味しかった」と言ったのである。
それ以来、荷物の中に必ず入って来るようになった。実は、このコーヒーは、母が普段あまり行かないスーパーでたまたま買ったものだったらしい。きっと、今回もこれを買うために足を延ばしてくれたのだろう、と思う。実に有難いことである…。


さてさて、前回の投稿の最後に予告(?)した、『ブレードランナー2049』の話をもうひとつ。この映画について書くのは、もう3回目だ。

『ブレードランナー2049』は、前作と同じく、ハリソン・フォードが出演している。但し、主演ではなく、後半から主人公のKと行動を共にする(でも拐われて一旦離れ離れになってしまう)という役柄である。
それで、この作品を既にご覧になった方はよく覚えておられると思うけれども、最後にKと訪れたある場所で、この作品中もっとも重要と思われる人物とついに対面することになるのだ。(ネタバレにならないよう、自重して書いています…)

ハリソン・フォード演じるデッカードと、その人物が向かい合う場面は、ラストシーンの約10秒間の出来事である。それから画面は暗転し、エンドロールへと移る。
その暗転の直前、よくよく見ると、最後の最後である2秒間、デッカードは僅かながら表情を変えていることに気付く。具体的に言うと、向かって左の口角をほんの少しだけ上げ、その上にある頬の動きに合わせるかの様に目を細めている。これは、素直な喜びを密かに表しているのだ。

実は、この表情の間も、向かって右側の顔は何も変わっていない。それは、初めて会うその人間に対する強い好奇心と幾分の安堵が織り交ぜられた表情なのである。
つまり、ハリソン・フォードは、顔の半分で微笑をして、もう半分で無表情を表すという、実に器用なことをしているのだ。しかも、非常に(観ている人が気付くか気付かないかくらいに)さりげなくである。

そこで僕が思い出した一枚の写真がある。何年か前(勿論、『ブレードランナー2049』の遥か以前)、ネットで見かけて保存しておいたものだ。元々の出所は不明である。海外の何処かの誰かが作成したのだろう。

写真中のキャプションには、「ハリソン・フォード、同時に喜び悲しむことが出来る唯一の男」と書いてある。
そして、上半分の写真を左右に分割して下半分に載せている。確かに、こうして見ると顔の右と左では表情が全く異なっているのがよく分かる。まるで喜怒哀楽を同時に表しているかの様だ。

これとほぼ同じことを、『ブレードランナー2049』の最後の場面で一瞬のうちに行なっているのである。何という、複雑な演技だろう。でも、これによって、デッカードの心境というものが繊細かつ克明に表現されているのだ。

これこそ、ハリソン・フォードが、ただ格好良いだけではない、非常に優れた文字通りの名優である所以だと思う。未見の方は(見落としてしまった方も)是非、『ブレードランナー2049』で、この表情の変化をご覧になってみて下さい…。

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やっぱり、これは良い映画だなあ…。もう、この一言に尽きるのだ…。

『ブレードランナー 2049 (吹替版)』(Amazon Prime Video)
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