坂本龍一キョージュが最近発表した、クラシックのコンピレーションCDふたつをちょっとレビューなのだ…

ここ数日の投稿は、雲やら月やら、ジェット機やら…という具合に空に関係した内容が続いたので、ここらで少し話題を変えてみようと思う。音楽である。

トップの写真は、先週発売された、坂本龍一キョージュご選曲のコンピレーションアルバム(CD2枚組)。音楽のジャンルは、クラシックと現代音楽だ。名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」の創立120周年記念盤である。
僕は、正直に申し上げて、このCDを買うべきかどうか少し迷っていた。今月は何せ、この種のリリースが目白押しで、後述のように既に色々と買ってしまっていたのだ。

だから、欲しいものを何でもかんでも買うのではなく、ちょっとは自重しようかと考えたのである。しかし、その野望(?)は脆くも崩れ去った…w
これも後で述べるけれども、キョージュご選曲による別のクラシック音楽CDの内容がとても良かったのである。じゃあ、それならばこちらも、という訳で、中古の出物があったのを幸いに、このグラモフォンのCDの方も買ったのであった。

曲目や演奏者など詳細については、こちらのタワーレコードのページに載っているお知らせに譲りたいと思う。心なしか、ブーレーズが指揮を務めた作品が多いように思う。
僕も、以前いただいた旧友のOさんからの手紙を読んで以来、最近、ブーレーズについては意識して聴いている。管弦楽曲や協奏曲など、氏の指揮による作品を選ぶことが多いのだ。

その点で、今回のキョージュのこのご選択は、とても嬉しく感じる。実際に聴いてみると、ドビュッシーやラベルなど、ブーレーズ指揮の演奏で収録されている幾つかの曲目を非常に心地よく聴くことが出来たのである。
その他には、フルトヴェングラーやカラヤン、カルロス・クライバーなどなど、往年の名手のタクトによる演奏も収録されている。ピアノでは、リヒテルやミケランジェリなどなど。

それから、CD2枚目の最後には、現代曲として、フィリップ・グラスと、今年急逝したヨハン・ヨハンソンの作品が1曲ずつ収められている。ヨハン・ヨハンソンはキョージュの友人でもあったので、この楽曲収録には追悼の意味もあるのだろうと思う。
フィリップ・グラスは、「グラスワークス」のオープニング。僕はこの曲のオリジナル演奏をもう25年以上前に初めて聴いた。そのときは鮮烈な印象を受けたけれども、今回収録の演奏は実に静謐で優美。いやあ、こうも変わるものなのだなあ…と感慨深く聴いた。


さて、そのドイツ・グラモフォンの120周年記念盤の前に買ったのが、こちら。上の写真は、雑誌「婦人画報」の新年号である。なぜ婦人誌なのかと言うと、坂本龍一クラシックセレクションのCDが付録になっているからなのだ。
曲目は、バッハ、ブラームス、ドビュッシーなどなど7曲。収録時間は53分。詳細については、下の動画をご参照。ちなみに、無音です。

このCDでは特に、ブラームスの交響曲第3番の第3楽章から、サティのジムノペディ(ドビュッシー編曲のオーケストラ版)への繋がりが白眉だと思う。
この2曲の並びがこんなにも良く似合うなんて、実に目から(いや耳から)鱗であった…。流石、キョージュのご選曲である。加えて、墨流しのようなジャケットのデザインも秀逸。

ちなみに、この付録CDに収録の7曲は、上に書いたドイツ・グラモフォン120周年記念盤と、これから発売されるキョージュご選曲の別のクラシックコンピレーション『耳の記憶』からのセレクトなのである。
つまり、コンピレーションからのコンピレーション。言い方を変えれば、ベスト盤から選んだ更なるベスト曲集なのである。そこからまた、新たな曲順を考えて、この付録CDが完成したのだろう。道理で内容が素晴らしい訳である…。

この号の「婦人画報」のもうひとつの付録である赤い手帳は、娘にあげた。可愛い、と喜んでいた。このふたつの付録だけで、もう元が取れたようなものなのに、本誌にはキョージュの写真やインタビューなども数多く載っている。
他の特集の色々な写真も、実に綺麗。久し振りに雑誌を手にとってみたけれども、斯様に結構盛りだくさんの内容で驚きを感じた。買ってよかったと思える一冊であった。ご関心の向きは、売り切れないうち、(下のリンクから)どうかお早めにお求めの程を…。
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『婦人画報 2019年 1月号』
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