野生の鷹の子たちを観察しようと、ある場所へ立ち寄ったのだ…

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前回の投稿では、東京の足立区内にあるプラネタリウムで開催された、CGクリエイター・KAGAYAさんの講演会について書いた。先週の土曜日のことである。

それから遡ること数時間…。僕は都内の別の場所にいた。一部で話題となっている、鷹の子どもたちを観察し撮影するためだ。具体的な場所については、余り公表しない方が良いらしいので、一応伏せさせておきたいと思う。何卒ご了承の程を。
ここは、住宅地の中にある公園のような緑地で、カエデやスギなどの林がある。その中のスギの高木に鷹が棲んでいるのだ。そして、何ヶ月か前に雛が生まれ、今は二羽が育っているのだと言う。

土曜日の昼下がり、僕は駅から徒歩で現地に向かった。近くに川が流れているという情報なので、その川の橋を目印に歩いて行ったのである。余り道幅のない車道を抜けると、遠くから「ピュイーッ」という甲高い鳴き声が聞こえてきた。
鷹の子の声である。その可愛らしくも、何かを欲するような鳴き方は、何度も繰り返されていた。どうやら、ビルの5〜6階くらいの高さがあるスギの樹の上から聞こえていたようである。

さて、周囲の地上を見ると、随分と大きな望遠レンズを取り付けた一眼レフが、三脚に据えられてズラリと並んでいた。この鷹の子を撮るために、各地から写真愛好家の人たちが集っているのだ。まるで、何処かの航空祭の模様のようでもある…。
そのときだった。鷹が一羽、スギの樹の陰から陰へと一瞬飛び移った。「おおっ」という人の声が聞こえ、カシャシャシャシャ…という一眼レフカメラの連写のシャッター音が、何台もの組み合わせで木霊した。

僕は、押っ取り刀でニコン P900をバッグから取り出す。電源を入れ、ファインダーを覗いた。鷹はもう、別の木の向こう側へ隠れて見えない。取り敢えず、場所を変えることにした。
この付近の川を覗き込むと、カモが水で遊び、カメ(…スッポン?)が甲羅干しをしているところだった。歩き回りながら、そのようなものを撮ったのである…。

さて、公園の中に入り、別の写真愛好家グループが集まっている場所へと行った。そこからのアングルでは、鷹の子を見ることが出来るようなのである。確かに、いた。スギの樹の天辺に二羽、確認できたのである。僕にとっては初めて見た、野生の鷹の子どもたちだった。

左側の一羽がこちらをジッと見つめていた。高いところから人間たちを観察しているのだろう…。もう一羽は、横を向いて、せっせと羽を繕っているようだった。

右の鷹が鳴いた。上は、その瞬間の様子である。口を少し開けているのがお分かり頂けると思う。子どもとは言え、やはり大空の帝王、猛禽類である。まるで肉食の恐竜のような形相だ…。左の一羽は、何かを見つけたのか、虚空を見つめている。
この後、30分以上は、この二羽が枝の陰に隠れてしまったので、姿を全く認めることが出来なくなった。僕も、周囲の人たちも、カメラを手にただ待つ他なかったのである。

でも、時折あの「ピューイッ」という鳴き声は聞こえてきた。その都度、樹の上を見遣るけれども、生い繁った枝が邪魔して見えない。鷹は随分と賢い鳥のようだ。こうして、人の目を逃れることもあるのだろう。
暫くして、一羽の鷹が別の場所へ移ったらしい。他の方角から鳴き声が聞こえるようになったのだ。何かを獲りに出たのかも知れない。すると、見つけた。比較的低いカエデの樹の枝に止まっていたのだ。それが、トップと下の写真である。

僕は、その樹の斜め下に場所を定め、枝と枝の間から、この鷹を狙った。割と近距離だったので、2000mm相当(光学83倍)のズームを用いて撮影できたのである。上の写真は、また鳴いているところだ。
この鷹の足元を見ると、何かを握っているのが見えた。獲物だろうか…?黒っぽい色をしているので、ネズミか何かなのだろう。黄色い足に黒く鋭い爪が幾つも生えている。グッと握って離さない。すばっしこい小動物もこれで掴まれては一溜りもない筈だ…。

こんなに狩りが上手いのならば、実はこの鷹は母親なのかも知れない。人間たちの注目を集めつつ、この枝の上から動かなかった。さて、子供たちはまだ、スギの樹の上にいるのだろうか?鳴き声は聞こえるのだけれども、依然として姿は見えなかった。

その子どもを呼ぶようにして鳴く。上は、その様子である。嘴の中から、チョロッとした赤い舌が覗いている。この舌の動きで鳴き声の音程を変化させているのだろうか、と思った。
さて、僕がこの場所にいたのは、ここまで。次の予定、つまり足立区でのKAGAYAさんの講演会に駆けつけなければならない時刻となったのである。もう少しこの鷹たちを観察していたかったのだけれども、仕方がない。

実に有意義で興味深い観察の機会であった。鷹の子たちは、その内に母親のもとを巣立つのだろう。その前に、出来ればもう一度ここを訪れて観察する機会を得たいものだ。そう考えつつ、僕はこの場所を後にした。また会おう、それまで皆んな元気でな…と思いつつ。


(鷹の子たちの撮影中に、上空を通過したヘリコプター。機体が赤いので、きっと消防のそれなのだろうと思う…)

……

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