たかが『かいかい』の治療について

最近、K氏メールマガジンの中で、一生お金には不自由しないと言いながら、長年苦しんできた、ある疾患に対する最新の治療を受けるにあたって、必要な諸検査の多さや支払い金額について、何度も不満を述べておられるようです。ただ、近年、疾患の病態の詳細なメカニズムが明らかになって、その本質に迫る生物学的製剤が次々と登場しています。その有効性は、従来の薬物をはるかに凌ぐ事も多いようです。そのかわり(でもないのですが)、開発に要する費用も膨大で、薬価もびっくりするほど高いのも現実です。

どうもこの生物学的製剤についての理解に乏しいようで、中途半端な知識を撒き散らされては困るので、ちょっとブログに書いてみます。30年も前に医師免許を取得したような私は、このジャンルの薬についての知るようになったのは、比較的最近の話です。一番有名なのは、関節リウマチに対するインフリキシマブ(レミケード)ですが、現時点で、すでに8種類ほどあるようです。レミケードは、TNFαという炎症に関わる生体内の物質を中和する抗体です。関節リウマチにおいて、TNFαが重要な役割をしていることがわかり、そこをピンポイントで押さえるので、従来の薬物に比べて、切れ味もよく、副作用も少ないのです。

長年K氏が苦しんできたあの疾患も、その病態メカニズムが明らかになり、ターゲットは、『TNF-αやIL-12、IL-23、IL-17』だと分かってきて、それに対する生物学的製剤が有効だとわかり、その使用を承認された施設でのみ治療が行われているのです。だから、医科歯科大へ行かれたのでしょう。

ただ、全ての生物学的製剤について言えることですが、免疫を抑える働きがあるので、感染症のリスクはつきまといます。ブツブツ文句を言っておられた、胸部レントゲンもそのために必須の検査だったと思います。高額の医療費は患者さんにとっても、保険財政にとっても重くのしかかっているのは事実のようです。ただ、患者さんには、高額療養費制度があり、月々の支払い限度額があるので、際限なく膨らむことはありません。勿論、K氏のような高額所得者は、そうでない人に比べて、支払い限度額の上限は高いですが・・。

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