ミラノのアール・ヌーボー建築 – ガリンベルティ家
観光案内などにはあまり触れられていないが、ミラノはアール・ヌーボー建築の宝庫である。19世紀のイタリア統一後、ミラノはイタリアの経済の中心として発展し、二十世紀初頭に新興工業家による建築ブームが起こったからである。
こういう建築がいちばん固まってみられるのは、地下鉄一番線のポルタ・ヴェネツィア駅と、パレストロ駅の間だろう。この間、その辺りに散歩に行った時、ついでに、ガリンベルティ家と呼ばれる建物の前まで行ってみた。
ここの見所は、なんといっても建物全体が陶器のタイルで描かれた絵におおわれていること。それからバルコニーの、鉄やセメントの手摺の意匠である。
バルコニーの写真では、三階の窓がうっすらと開いていて、中にたぶん人がいるのがわかる。イタリア語のウィキペディアによれば、この建物は、一階は商店になっているが、二階から五階までは、各階が四つづつのアパートメントに分かれているそうである。ミラノのこういう建物を見ていつも思うのだが、一体どういう金持ちがこういう家に住んでいるのだろうか。私などには想像もつかない世界に違いない。