また花見

私の住んでいるセスト・サン・ジョヴァンニ市の中心部にちょっと洒落た昔風の街並みを残してあるところがあって、そこに見事な八重桜の並木がある。まだ木は若いようで、幹はあまり太くないのだが、桜が何本も並んで植わっているところはこの辺にはここしかないから、毎年楽しみにして見に行っている。

100メートル程の道を桜を眺め、行きつ戻りつしながら毎年思うのだが、花見は日本の文化だということ。こんなに見事に咲いているのに、他には誰一人として立ち止まったり、写真を撮ったりする人はいない。道端の桜の花が咲いていれば反射的に立ち止まって鑑賞するというのは、日本人が幼い頃から両親に刷り込まれた行動なのだ。

イタリア人だって花をきれいだと思う心はもちろんある。その証拠に、この桜並木だって、誰かが桜が咲いたらきれいだろうと思って植えたものだ。でも、この毎年桜を楽しみにし、咲けばわざわざ出かけて行って見るというのは、やはり故郷を思う元日本人としての行動だろう。

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