うちの天井裏の物入れに眠っていた、もうひとつのビデオ。本命は見つからないけれども、その代わりが…

うちの天井裏は、ロフトのようになっていて、物入れとして使われている。家を建てて引っ越して以来、開梱してない荷物などは、全部そこに置きっぱなしだ。
だから、時折ふと思い出して、何かを探しに行くと、まるで芋ずる式に様々なものが見つかるものだ。逆に、入用の物がなかなか見つからないということもある。そういった物は、随分と経ってから出てくる。思ったようにはいかないものである。

さて、先日は、ビデオテープが入った段ボール箱を漁っていたところ、かねてから観たいと思っていた、小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラ演奏のバッハ『マタイ受難曲』を録画したテープが出てきた。
僕は録った覚えがないし、この家にこのテープがあることすら知らなかった。それがこうして見つかるのだから、全くの僥倖。天からマナが降ってきたかのようである。聖書に材を取った音楽だけに…(新約と旧約の違いはあれども)。

僕には、これとは別に探しているビデオテープがあるのだ。嘗て、X JAPANのYOSHIKIとTMNの小室哲哉氏が僅かな時期だけ組んでいたユニット、V2のライブビデオである。
最近どうも、小室哲哉氏に関して引退騒動やら喧しい。氏が会見で泣いている姿をネットのニュースで目にして、僕は何故だか無性にV2のビデオが観たくなってきたのだった。しかも、サラウンドを効かせ、音に囲まれながら。

結論から言うと、そのライブビデオのセル版は、25年以上前に買って大事に取っておいた筈なのに、未だ見つからない。でも、フジテレビで放送されたものを録画したビデオは、見つかったのである。
このTV版のビデオは、コンサート中のソロ演奏が一部省かれているけれども、僕の目当ての楽曲は一通り入っていた。まあ、取り敢えずのところ、これで十分なのである。ああ、良かったw

V2は、1991年12月5日。モーツァルトの没後200年の日に、今はもうない東京ベイNKホールという場所で、一度だけコンサートを行なった。僕も当時、遥々観に行ったものだ。
何故モーツァルトの命日に開催したのかというと、このとき小室哲哉氏は、モーツァルト関連のミュージカルの音楽を担当していたのだ。そんな縁である。そのミュージカルも、僕は観に行った。

『マドモアゼル モーツァルト』という。モーツァルトは実は女性だった…という設定の、漫画を原作とした作品である。実に楽しいミュージカルだった記憶がある。

ちなみに、このCMの背景で小室哲哉氏が弾いているピアノは、YAMAHAの特注品。その名もEXPOピアノ。小室氏用とYAMAHA保管用の、世界に2台しかないと聞いたことがある。何とも優美な曲線のデザインだ。

このピアノは、V2のコンサートでも登場する。一方、YOSHIKIのピアノは勿論、KAWAIのクリスタルピアノだ。コンサートの冒頭では、2人が向かい合って連弾をする。

ピアノに大きな憧れのある僕なんかにとっては、こうしたお気に入りのミュージシャンがステージに2人揃って、しかもピアノを連弾しているだなんて、垂涎どころか卒倒しそうなくらいの場面なのだ…。

舞台の奥には、フルオーケストラが控える。ふたりのピアノの伴奏となり、またV2のアップテンポで激しい楽曲にも加わって演奏していた。そういえば、Xにもこの頃、『X with オーケストラ』というコンサートが武道館であったなあ…。

V2の楽曲でボーカルを務めるのは、小室哲哉氏の方。この当時から、コムロが歌うのはどーなのよ?みたいな意見を色々なところで見聞きしたけれども、僕は好きだけれどなあ…。シンセの音色と良く合っていると思う。

そうそう、下の写真の、この曲が観たかったのである。V2が唯一リリースしたシングルCDの2曲だ。小室哲哉氏とYOSHIKIの合作という、夢のコラボ。どうかまた、やってくれないかなあ、このふたり。

写真によっては、画面のモアレが写ってしまうのは、どうかご容赦を…。

小室哲哉氏の黒の衣装は、エリザベスカラーが付いたドレス風のように見える。これも、200年以上前のモーツァルトの時代を何処か意識したデザインなのだろうか。そんな気がする。

YOSHIKIは、当時のXのときと同じような、薄いレースが付いたロングドレス。ドラムを叩くときには勿論、脱ぐ。ドラムソロのときの音響も、Xのときと同様、フランジャーをかけて鳴らしているなあ…と感心しつつ当時の僕は、この場でこれを観ていた。

全力疾走のドラミングを終えたら、当時のXのコンサートのときと同じように、銅鑼を激しく打ち鳴らす。そして、その場に昏倒するのである。YOSHIKI、凄く痩せている…。

そんなわけで、セル版のビデオは何処へいってしまったのか分からないのだけれども、その代わりのようにして出てきた、V2のビデオテープである。ここには、まさしく絶頂期の、まだ若くも血気盛んなふたりが写っているのだ。
この後、小室哲哉氏は、プロデュース業へと軸足を移し、色々なことを経て今に至っている。YOSHIKIは、Xメンバーの様々な出来事や、自身の体調の問題もあり、音楽活動に困難を極めることになっていく…。

当時は勿論、先に待ち構えているそのような諸事について、ファンも含め、誰ひとりとして想像はしていなかっただろう。世の定めし経綸(オイコノミア)とは、時として残酷なものである。でも、その中を生きるのが、人としての務めなのかも知れない…。
V2のビデオを観ながら昔を懐かしみつつ、僕はそのようなことを考えていた。いつかまた、このふたりが揃ってステージに立つ日を、いつまでも心待ちにしていよう。そう思っている。

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