猛暑日の午後、自転車に乗っているときに天から降ってきたモノは、何と(苦笑)…

トップと下の写真は、先達ての日曜日の夕焼け。青い空にピンク色の雲が綺麗だったので、娘とベランダで並んで撮った。娘はスマホを使い、僕はニコン P900のトワイライトモードで撮影。

あとで、娘が撮った写真を見せて貰った。色味は、P900で撮影したものよりも淡く写っていた。まあ、トワイライト撮影モードは、カメラ内部で色調をフィルター処理していると思うので、このようになるのだ。
また、娘はズームも行なっていなかったようで、構図の中には、白く小さな点のようにして月が写っていた。そのとき、南東の方角に出ていたのである。それが、実に可愛らしく見えたものだった…。

上の月は、夕暮れ前のまだ空が明るいときに撮ったもの。これも、P900で撮影。但し、こちらはトワイライト撮影モードではなくて、Pモードという通常の撮影モード。


翌日の月曜日は、猛暑日の名に相応しい(?)実に暑い日であった。以前も書いたように、僕は夏の暑さが大の苦手、と言うよりも、嫌いなのであるw
この日は、午前8時過ぎから既に日差しは強く、皮膚に突き刺さるかのように感じられた。ジリジリとする、あの感覚である。梅雨はすっかり、胡散霧消のフェードアウトだろうか?まあ、これは毎年のことであろう…。

僕は、午後からの塾の仕事へは、気温のピークを過ぎた頃に出掛けて行く。夕方と夜に授業があるので、その時刻に間に合うように行くのだ。従って、比較的涼しく自転車を漕ぐことが出来る。
先日も、そんな感じで、意気揚々と乗っていた。風もそよそよと感じられる、爽やかな頃合いである。でも、20分以上も自転車に乗っていると、向こうに着く頃には汗をかいていることも多い。

さて、家から数分のところである。僕は道に沿って、やや右へとカーブして行った。その辺りには、民家やマンションなどが多く、塀の角には電柱が立っている。
そこで、僕はふいに、ピチャンというような、やや聞き慣れない音を聞いた。何と言うべきか、大粒の雫が落下したときのような物音である。また、自転車のハンドル部分を握る右手には、幾分冷たい温度を感じていた。

はて?と思って、その右手の方を見遣ると、何と何と、手の甲に白く透明な紋様が数cmの大きさで広がっていたのであった。見た瞬間に、それが何であるのか解した僕は、電柱の上を見上げた。自転車は尚も走っている。
何本かの電線には、いずれの存在も認められなかった。犯人は見事に逃亡したのだw まあ、この紋様の大きさから察するに、スズメ程度の小鳥ではなさそうである。まさか、カラスだということは考えたくないのだけれども。

それは、まるで卵の白身が熱せられて白濁しかけたような、微妙な透明感を持っていた。大か小かと言えば、恐らくは後者の方であろうかと思われる。液体じみていたからだ。

子供の頃、僕の家ではニワトリをふたつ飼っていた。父が毎朝、採れたての卵を食べたいと言っていたからである。世話は、僕と弟のふたりでやった。餌やりや、小屋の中のフンの片付けなどが主だった。

その当時の観察で分かったのは、鳥類のフンには2種類があるということだった。固体と液体のそれである。(…尾籠な話になってしまって、スイマセン)
もうひとつ見て理解していたことは、少なくともニワトリの排泄は常に、尾羽の下にある同じ場所から行われている、ということだった。つまり、大も小も全く同じように、同じところから出されている。器官の区別がないようなのである。

僕は、右手を見つめながら、そのことを思い出していた。やはり、これは小の方なのであろう。うちのニワトリも、よくこんな感じのモノを、庭先の地面に出していたっけなあ…などとノスタルジーに耽りそうになる。
いやいや、これを何とかしばければ。一体どうすれば良いんだよ、そう呟きながら、僕は辺りを見回した。そうそう都合よく水道などが道端にあるわけではない。自転車は空走を続けたままである。

10数mほど走ったところで、自転車を停めた。歩道の植え込みの下には、土がある。僕は、バッグの中に、出掛けるときにはいつも持ち歩いている、ペットボトルの飲み水があることに気づいていた。
早速、左手でそれを取り出し、脇で固定しながらキャップを回す。右手は使えない。片手での作業である。自転車に跨ったまま、右の腕を地面に向けて斜めに下げた。

そこへ、少し高いところから水を落とす。冷蔵庫から出したばかりの、冷んやりとした爽やかさが心地良い。見ると、手の甲の上では、粘性をやや帯びた白濁が、水の勢いに負けて流れていたのである。
500mlのペットボトルがほぼ空になったところで、異物は除去されたかのように見えた。しかし、これで安心は出来ない。拭き取る必要がある。しかし、ハンカチは使いたくないものだ。

僕は更に、バッグの中を見た。ティッシュを入れてある小さなポケットに、汗拭き用のデオドラントシートの薄いパッケージを見つけた。そうだ、これは、あのときに貰ったものだ。
昨年の夏だったろうか、息子と一緒に(国立)東京工業大学の見学へ行った際、校門で配布されていた試供品のひとつなのだ。中を見ると、何と1枚だけ残っていた。これは有難いことである…。

その最後の一葉を取り出して、腕から手の甲にかけて念入りに拭いた。強い清涼感が売り物の商品だけあって、スーッと実に爽やか。更に、手のひらや指の間まで、注意深く拭った。
余りに熱心に拭いていたせいだろうか、通りすがりの何処かのお婆さんが、珍しげに僕を見つめて通り過ぎて行った。しかし、このスッキリ感は、誰にも分かるまいてw

これで一応綺麗になったと思い、僕は自転車を再び漕ぎ出して塾へ向かった。こんな出来事のお陰で、数分間の時間をロスしたのだ。でも、予定の出勤時刻には間に合うだろう。

塾に到着すると、トイレの水道でハンドソープを使い、また手と腕をゴシゴシと洗った。もう、すっかり大丈夫だ。僕は腕を掲げた。何処か失われた右手の感触を、いまそのとき取り戻したように感じられたのである。


(注:写真の鳥はいずれも、今回の件とは無関係ですw)

……

PAGE TOP