寒中のある日、いつもの場所で、赤い夕陽と富士山を撮ったのだ…

きのうは、いつものように、早朝の仕事に出掛けた。そして、その帰りに少し変わった(?)ものを見た。

隣市の交差点で、メルセデス・ベンツのカブリオレ(オープンカー)がゆっくりと左折するところだったのである。少し型の旧い、白のEクラスだったと思う。
その車には、前後のシートに若者(男子)が、4人ズラッと首を揃えるようにして並んでいた。やや緊張した面持ちで、姿勢をピンと正して座っていたのである。

身に着けていたものは、笑点の大喜利のような色の和装だった(うち一人は黒だったけれども)。髪の色は、その半数が金髪。僕は遠目に、これはちょっと風変わりな取り合わせだ、と感じた。
寒い冬に、ベンツのカブリオレをわざわざ後部座席まで埋めるような乗り方をすること自体も、余り見かけないな…さて、きょうは一体何があるのだろう…?とも。

それで、僕は漸く思い出したのである。そうだ、例の祝日なのだ。これから成人式に行くのか。きっと、この日のために奮発して、ベンツのカブリオレを何処かで見つけて借り、皆んなで式場へ繰り出そうというわけなのだろう。
僕は成人式に終ぞ出なかったけれども、この日はこういった種の特別な「ハレ」を演出するための日なのかも知れない。そう考えると、その光景が何だか、とても微笑ましくも感じられたのであった…。


さて、先達ての投稿で、お正月の三が日の日に、野良ねこが集まる場所へ出掛けたことを書いた。
僕はその後、夕陽を撮影するために、富士山の見える場所へと移動したのだ。ねことは名残惜しくも感じたけれども、それはまた次の機会もある。日没の時刻が迫りつつあるので、先を急いだのだ。

日照が少なくなり、気温がぐんぐんと下がるのを感じる。自転車に乗っていると、風を切っているせいで、指先が冷たくなって来るのだ。途中の自動販売機で、缶入りのホットココアを買った。100円で手に入る温もりだ。
その場所には、既に何度も来たことがある。このブログにも写真を載せたことがあったと思う。一面の畑が広大に見渡せる場所。雑木林や電線などが視界に入って来ないスポットを、僕はもう決めてあった。

うっかりと、三脚を忘れて来てしまったので、ニコン P900の撮影モードを変えながら、手持ちで撮影していった。指が冷えてかじかんで来るために、缶入りココアで時折、手を温める。

この場所ではいつか、富士山の真上に陽が落ちるような場面(所謂、ダイヤモンド富士)が見られるのではないか、と踏んでいるのだけれども、どうだろう。ちなみに、この日の日没時の方位は240°だった。西南西である。
きっと、これ以上南寄り(つまり、富士山寄り)になることはないかも知れない。もしそうであるならば、場所を大きく変えなければならないだろう。ふと、そんなことも考えたのである…。

徐々に没していく太陽。拡散する光芒のために、黄色い陽が一層大きく見えた。その隣には、富士山が、心なしか小さく佇む…。

いよいよ、太陽は完全に姿を消した。しかし、その投げ掛ける真っ直ぐな光条は、富士山を斜めに斬るようにしてシルエットを炙り出し、周囲の空を真っ赤に染めていた。

上の写真は、太陽が落ちる前に、富士山を大きくズームさせて撮ったもの。山肌で大きな風が吹くと、雪が激しく舞い上がる様を見られることがある。この写真に写っているのは薄雲だけれども、まるでその場面のように写ったと思う。

最後の一枚は、トワイライト撮影モードを使って、縦の構図で撮った写真。日没後は、このような上から下までのグラデーションが何とも美しい。P900のこの撮影モードは、それを一層綺麗に写してくれるので、いつも重宝している。

寒かったせいもあって、20分余りの滞在だったけれども、今まで撮ることの出来なかったような大きな日没の太陽を写すことが出来て有意義だったと思う。
この後、僕は缶のココアを飲み干して家路についた。再び、あのねこの場所の前を通り過ぎると、ベンチの上に一匹が丸くうずくまっていたのだった…。

……

PAGE TOP