押井守監督が影響を受けたという、あのフランス映画を観てきたのだ【追記あり、修復済み】…

昨年の春頃にSSDコンポを買って以来、FM放送の音楽番組を毎日聴いたり録ったりしている。そのアンテナは主に自作したものを使っている。

同軸ケーブルにビニール線を半田付けしたようなものを部屋の壁に張っているのだ。でも、どうしてもwifiの無線ルーターのノイズを拾ってしまうのが悩みの種だった。そのACアダプターがスイッチング方式であるせいなのだろう。
思い切って家の外にFM用のアンテナを設置すれば解決かも知れない。そうすれば室内が発生源になっているノイズとはおさらばだ。設置は自分で出来るとしても、手間と時間がどうしても掛かってしまう。

でも実は、外にはもうアンテナが設置してある。TVの地デジのそれである。放送が始まった当初は、木と針金で自作のアンテナを立てていた。それが風雨に晒されてボロくなったので、今はメーカー品の小型のものを設置している(これも自分で作業した)。
以前、これをFM用に流用出来ないものかとケーブルを配線してみたけれども、感度の向上は見られなかった。当然であろう。FMはVHF、地デジはUHF。電波の周波数帯が異なるのだ。よって、必要とされるアンテナの形状も違うというわけである。

でも、先日、思い切って再び配線してみた。もうクラシック音楽の放送をジリジリザラザラとしたノイズ混じりで聞きたくなくなって来たのだ。するとどうであろう。ピタッとその雑音が消えたのである。信じられない。以前の実験は何だったのだ…w
上にも書いたように、そもそも周波数帯が異なるので、上手くいく筈は無いように思われるのだけれども、結果オーライだ。今日も実に良く聞こえている。

こんなことならば、もっと早くに再チャレンジしてみれば良かったと思うくらいである。まあ、態々アンテナを別途立てずに済んだのは良しとしよう。これで当分の間はFM放送をノイズフリーで楽しめそうである…。
ちなみに、トップの写真は、SSDコンポの背面のアンテナ端子部分なのである(真上から撮影)。


さて、きのうは塾の仕事も新橋の仕事も休みだった。つまり、午後からフリー(謂わば、束の間の自由時間)だったのだ。
では、何をするか?選択肢はふたつあった。お正月の頃から行こうとしていてまだ観ていない寅さんの新作を観に映画館へ行くか。それとも、最近気になっている、とある古いフランス映画を観るために図書館へ行くか。いずれかである。

結局、後者にした。どうもそちらが気になって仕方がないのである。何故なのか分からないけれども…。
それは、『ラ・ジュテ』という、1962年のモノクロ映画だ。お正月にブックオフで買った映画秘宝のムックに2ページの紹介記事が載っていて、猛烈に観たくなったのである。下の写真がそのページ。

『ラ・ジュテ』は後年、ブラピ主演の『12モンキーズ』の原案となり、日本では押井守監督が特に大きな影響を受けたという。僕としてはもう、押井守を夢中にさせたというだけで観たくなってきてしまうw

ところで、上に挙げたページの、左上に掲載されたスチル写真を見て、「これは押井作品のあのキャラクターと似ているんじゃ…」と思ったあなたは正解。
押井守監督は学生時代に大枚をはたいて『ラ・ジュテ』の16mmフィルムを借りて何度も繰り返し観たのだそうだ。きっともう、この映画の場面ひとつひとつが脳細胞に焼き付いているのだろう。

さて、『ラ・ジュテ』のDVDはちょっと遠くにある図書館に置いてあることが分かった。でも、禁帯出資料扱いなので、館内のプレーヤーで観るしかないのだ。それで態々、行ってきたというわけなのである。
この映画の長さは28分。たった4〜5秒間のワンシーンが動画であることを除いて、ほぼ全編がモノクロの静止画で構成されているのだ。このような、静止画で構成する映画手法を「フォトロマン」というのだそうだ。良いネーミングだな…。

あと、声はフランス語のナレーションのみで、出演者のセリフはない。あと時折、効果音と音楽(管弦楽曲やコラールのような合唱曲)が流れるのだ。
(下の動画は、『ラ・ジュテ』DVD版のトレーラー。現在、ブログシステムの不具合のせいか、ここに貼った動画が見られないかも知れません。直るまで、何卒お待ちの程を…→1月20日に修復しました。どうぞご覧ください)

とても独特な作風の映画だった。カルトムービーの極北と言うべき作品だろう。インパクトは絶大にして、しかし心地好い。僕は結局、1時間半かけて3回も観た。字幕付きで2回、それを消して写真に注視しながら1回である。
ジャンルとしてはSF映画だ。でも、宇宙もメカも、エイリアンのようなモンスターも、一切出てこない。画面に出るのは数名の人間のみである。それでも、これはSFだ。押井守監督が如何にして影響を受け、オマージュしているのかも幾つか発見できた。

『ラ・ジュテ』には、Blu-ray版もあるという。そちらには特典として、押井作品のあのキャラクターの声優である、大塚明夫氏の声でナレーションが入っているのだそうだ。
吹き替えであれば写真を観ることに集中できるのでかなり有難い上に、あの低く渋い声のナレーションが聞けるのだ。うーん、良いなあ、Blu-ray欲しいなあ…。いつかきっと買おうw


(そんなわけで、上はBlu-ray盤のトレーラー。こちらも見えなくなっているかも知れません…

【追記】動画が見られなかった代わりに、押井守監督が『ラ・ジュテ』について熱く語っておられるインタビューページのリンクを貼っておきたいと思います。どうか御一読くだされ…。
↓↓
押井守、『ラ・ジュテ』を語る。

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下のサムネイルは、上で触れた映画秘宝のムックです。見逃せない新旧100のSF映画を、いち作品につき2ページで紹介しています。僕はその中から、未見で且つ非常に興味深い5作品を選んで、上述のように図書館を利用して鑑賞しているというわけなのです。残りの4作品については、DVDを借りて家で観ることが出来ました。

『新世紀SF映画100 (洋泉社MOOK 映画秘宝EX 映画の必修科目 14) 』
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