またまた、色々な語録を日本語訳してみた。今回は、英語とドイツ語なのだ…

僕が普段利用しているSNSでは、様々な団体の情報がアップされている。その中のひとつに、SWR(南西ドイツ放送交響楽団)がある。ここは、かの天才鬼才指揮者テオドール・クルレンツィスが首席指揮者を務めている。

そのページでまた語録を見つけた。先達てご紹介した動画の語録では、英語でモノローグが入っていたのだけれども、今回はトップに掲げたように、写真とドイツ語の文である。アップされたのは2月24日で、この日はマエストロ48歳の誕生日であったのだ。

僕は早速、日本語と英語での訳出を行ってみた。
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「ひとが何かを愛好するときーー例えば音楽のようなものをーー
それはいつも、愛情に活力を与えてくれる!」
(テオドール・クルレンツィス)

“When man loves something -like music-,
it always gives the love energy!”
(Teodor Currentzis)
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ちなみに、独語原文に出てくる”liebt”も”Liebe”も、英語で言うところの”love”で、それぞれ動詞の三人称形と名詞形である。しかし、日本語でいずれも「愛する」とか「愛に」とか訳してしまうと、やはりどうしても文全体がトートロジー的に読めてしまう。
そこで、和訳では表現をやや変えて訳し分けることにした。それぞれ「愛好する」と「愛情に」と表現したのである。でも、英語ではそのまま”love”としておいた。いやはや、言語とは難しいものである…。

こうして、たまに独語を弄ると、良いおさらいになって結構であるw 独英辞典が欲しくなってくるなあ…。この「SWR Classic」のページは、いろいろな語録などが載っていて面白い。


さて、下は別の日にアップされていたベートーヴェンの言葉。こちらもSWRである。
今回、これらふたつの訳で僕は10年ぶりに独語を触れるに至った。暫くサボっていたわけだけれども、普段からちゃんと勉強しておかなくちゃなあ、と思ったのだった…。

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「いやしかし、そうではない。
私にはやはり、幾らかの音楽的才能があったのではないか?」
(ルードウィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)

“But it’s not true,
as I thought, I had some musical talent ?”
(Ludwig van Beethoven)
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かの楽聖も、このように苦悩懊悩しながら諸作品を書いていたということなのだろう、と解釈しながら和訳した。何せ、上述の通り、独語は久し振りなので、もし訳文に不備あらば、独語を解する諸氏のご助言を仰ぎたく思う次第である…。


さてさて、お次は別のサイトに載っていた、気鋭の映画監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の語録。ヴィルヌーヴ監督に関しては、このブログでも、近年の代表作である『ブレードランナー2049』や『メッセージ』といったSF映画をご紹介してきた。

今回の発言は、『メッセージ』などの音楽を担当した、ポストクラシカルの作曲家、故ヨハン・ヨハンソン氏に関してのもの。一見して印象的だった箇所があったので、こうして私訳を行なって残しておこうと思ったのである。


(出典:「DEADLINE」写真は、ヨハン・ヨハンソン氏)

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I fell in love with Johann’s music instantly.
私は立ち所に、ヨハン・ヨハンソンの音楽と恋に落ちることとなった。

In his work there is a solemn melancholia.
彼の作品には、重々しい憂鬱がある。

For me, at its deepest core,
最も深刻な核の部分で、

all Johann’s music is about one profound question:
ヨハンの全ての音楽は、ある根深い問いを孕んでいると、私には捉えられる。

why does God not answer any of our phone calls? (Denis Villeneuve)
それは、なぜ神は私たちの電話に決して出ることがないのか?ということなのである。
(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
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下の動画は、ヨハン・ヨハンソン作曲の『肩に止まったスズメ(A sparrow alighted upon our shoulder)』。友人であった坂本龍一キョージュもお気に入りの一曲である。タイトルおよび曲調、いずれも実に儚い…。

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