桜が花開く。誕生日も近いので、こうして巨匠たちのCDをまとめて買ったのだ…

トップの写真は、きのう都内へ行ったときに撮ったもの。向こうに見える巨大なビルは、日テレの本社。実は、昨年も1日違いで同じ場所の桜を撮影している。同じサイバーショットに写真が残っていたのだ。

それを見ると、昨年の3月28日は既に葉桜であった。何と、この時期にも関わらず雪も降ったのだった。きのうは、この麗らかさに引き寄せられてか、それとも、政府による解除の号令の所為なのか、昼間も夜も先週までと比べて人出が多かった。
僕なんかは、春だからといって特にウキウキする訳でもなくw、政府の号令なぞ一切気にせず(自分の行動原理は自分で考えて決めているので)。まあ、精々こうして流れる季節の移ろいをただ眺めているだけである。

今年は既に3ヶ月が終りつつある。もうすぐ4月だ。実に、はやいものだと思う…。

さて、近所の桜並木も花盛りだ。ソメイヨシノに加えて、足下に咲く菜の花も満開。一時期は勢いをなくしていたこの黄色く小さな花たちも、ここ数年は桜に負けじと早めに蕾を開いて頑張っている。如何にも健気である。
一昨日、ニコン P900で数秒間のシャッター開放を行なって、夜桜を撮影してみた。道路を往来する車のヘッドライトが伸びて写り込み、桜の花を下から照らし出している。


さてさて、今月は僕の誕生日があるせいか、様々なサイトから割引クーポンの類がよく届く。タワーレコードのそれは、来月発売になるテオドール・クルレンツィスの新作の予約に使った。

あと、HMVからもクーポンが来た。3000円以上の購入で1000円引くという。HMVには、昨年発売された故マリス・ヤンソンスのラストコンサートのCDが良いと思った。
一昨年前、急逝する直前にNYで行ったブラームスの4番を振ったときの録音である。先達て僕はFM放送で、そのNY公演の1ヶ月ほど前にミュンヘンで収録された同じ曲の演奏を聴いた。

そのとき、ポケットスコアを捲りながらイヤホンでジッと集中して聴き入ったものだった。叙情性に満ちた大変に素晴らしい演奏だったのである。
このブラームスの最後の交響曲を、ヤンソンスは自らの白鳥の歌へと昇華せしめたのだと実感した。やはりCDを買うべきだと決めた。しかし、値段が2000円ちょっとなので、クーポンが適用されるには1000円弱ほど届かない。もうひとつ何かを買う必要がある。

そこで、HMVのサイト内を廻って見つけたのが、8枚組で約1300円というCDボックスだった。ラフマニノフのピアノ協奏曲と交響曲や管弦楽曲などが収められている、お買い得盤である。

ピアノは、ニコライ・ルガンスキー。僕の知らない人だけれども、現在はモスクワ音楽院で教授を務めているピアニストなのだそうだ。レビューなどを読んでも悪くはなさそうである。
かたや、交響曲の方の指揮は、かの巨匠、アンドレ・プレヴィン。こちらは、僕の大好きな指揮者のひとりだ。上の写真の中で、左に写るモノクロのポートレートが、若き日のプレヴィンである。

アンドレ・プレヴィンのラフマニノフといえば、下のリンクの先の演奏がとても素晴らしい。これは最晩年にN響を振ったときの模様。
指揮棒の描く色々な模様や、それに呼応して鳴るオーケストラの綺麗な響きを堪能するだけで至福の時が得られるというものである。プレヴィンはクラシックのみならず、ジャズや映画音楽の世界でも活躍した稀有なる才人であった。


(全4楽章が収録された動画が削除されてしまったので、第3楽章だけ切り出した別の動画を貼っておきます…)

さて、僕はラフマニノフのピアノ協奏曲全集については、ヴァレンティーナ・リシッツァのものを既に持っているし、交響曲もマリス・ヤンソンス指揮のCDなどがあるのだけれども、8枚で1300円というこのCDボックスの安さに惹かれて、結局ポチったw
まあ、クーポンが効くので、実質300円くらいであろう。この機会に買わない手はない、というわけである。

先日、それが全部、届いた。くだんのヤンソンスのラストコンサートのCDには、有り難いことにパンフレットのような冊子がおまけで付いてきた(中身は英独語のみ)。
一方、ラフマニノフのCDは、紙ジャケット仕様である。LPレコードのミニチュアみたいで、僕はこの体裁が好きなのだ。

そこで後日、マリス・ヤンソンスが指揮するブラームス第4番のCDを聴いた。この演奏が終わると、僕は長い旅から帰って来たかのような深い感慨に耽った。それは、ヤンソンスの人生行路を辿った旅だ。

これはまさしく、マエストロの生涯を俯瞰して演奏されている。きっと、ヤンソンスは自らの一生を走馬灯が廻るように振り返りながら、そこに去来する一切合切をこの曲に託したのだ。
各楽章におけるそれぞれのクライマックスは言語に尽くし難い程で、身体に痺れを感じるくらいなのである。例えばワルターやクライバーのブラ4も素晴らしいが、このヤンソンスは別格であろう。

アンコールのハンガリー舞曲の後、数分間続くオベーションにヤンソンスは何を見て感じたのか、我々にはもう知る由もない。
ドラマチックにここまで収録し切った録音も編集も素晴らしい。このCDはシンフォニーの演奏史における、記念碑のひとつとなるだろうと思う。
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このラストコンサートは、いずれSACD化されるべき作品でしょう。もしくは、映像が残されているのならば、DVDやBlu-rayというのも良いかも知れません。BR-KLASSIKレーベルの皆さまにおかれては、是非ともご検討くださいますよう…。

『マリス・ヤンソンス、バイエルン放送響ラスト・コンサート[日本語解説付き]』
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