僕の好きな音楽家や芸術家たちが、ひとりまたひとりと世を去っていく。これも我々の生きる意味のひとつかも知れないと思うのだ…

もう、いつ頼んだことやらちょっと忘れてしまったけれども、10日ほど前にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団から、今年のイヤープログラムが届いた。確か、3〜4ヶ月くらい前にネット上のフォームで申し込んだような気がするけれども、さてどうだったかなw

封筒は如何にも長旅を経て来たという具合に何箇所かが破れており、プログラム冊子は角がちょっと凹んでいる。やあ遥々よくうちまで来てくれたね、ご苦労さんと物言わぬ紙製品にも声を掛けたくなるくらいなのである。実に愛おしくも感じられる程に。

僕にとって、このプログラムの最大のお目当は、7日間の無料視聴クーポンが付いてくることだ。
うちは今年、長年利用してきたADSLから遂に光回線へと変更した。ADSLが廃止となるからである。すると、回線速度が劇的に向上したのだ。多分、100倍〜数百倍といったところだろうw

そうなると、ベルリンフィルのデジタルコンサートホールというネット配信も、画質を落として途切れ途切れで漸く視聴できたというレベルから、最高画質・最高音質に設定しても全く滞りがない、という実に素晴らしい変化となったのだ。

しかし、悲しいかな、サブスクリプション料金を払えばいつも好きなように観られるというわけにはいかない。
僕は日々、時間が圧倒的に足りないからである。せめて、年末年始のお休みのときにだけ、集中的にこれを鑑賞してみよう。そういった目論見で、今回このプログラムとクーポンを申し込んだ。

こうして、年末年始の楽しみをひとつ確保できた。今年は昨年に増して、あっという間の一年間となりそうである。
何とまあ、既にもう10月なのだ。おかしいなあ、ついこの間、お正月の獺祭を開けたような気がするのだけれども。その銘酒をまた例年のように購入する日も、直ぐそこなのであろう…。

トップの写真で一緒に写っているのは、同じ日に届いたディアゴスティーニ の「Gメン’75 DVDコレクション」の第10巻。
月に2回発行のこのマガジンは、開始から既に5ヶ月も経ったというわけだ。これは、いつも週末の寝しなにチビチビと1〜2本ずつ観ては、仕事が休みの日の細やかな楽しみとしている。

それから、ベルリンフィルのプログラムには、「アーティスト・イン・レジデンス」(専属アーティスト)として、あのパトリシア・コパチンスカヤが、他のマエストロたちを抑えて一際大きく紹介されていた。
僕が思うに、現時点における世界最高のヴァイオリニストのひとりである。ヴァイオリン演奏そのものの個性という点では、きっと後にも先にも右に出る者はいないかも知れない、そんな若き大演奏家でもあるのだ。


先日、やっと時間をやり繰りして、映画『MINAMATA』を観に行くことが出来た。ジョニー・デップ主演の、水俣病を扱った作品である。しかし、日本映画ではなく、れっきとしたハリウッド映画なのだ。

本当は、公開当初の先月下旬に観るつもりが、英語学習やオンライン英会話などなどのスケジュールの都合でなかなか出掛けられず、そうこうするうちに1日3回だった上映が1〜2回に減ってきてしまったので、少々慌てて行ったというのが実情である。

これは、実に圧倒的な作品だった。
日本で起きた実際の出来事を扱っているのに何故、日本映画ではないのかという声があるようだけれども、あれ程までの画面から得られる情報量や密度、演技や演出の重厚さを、我々は日本の映画作品に求めることは出来得るのだろうか、と鑑賞しながら僕は考えた。

水俣市を舞台としている撮影は、実際には海外で行われたのだそうである。従って、日本人の目から見ると、ちょっと日本の景色とは雰囲気が違うな、と感じられるカットがあることは否めないだろう。
しかし、そのことがかえって、我々が水俣病という公害や惨状を客観視することを強く促しているのだろう、とも考えられるのだ。

坂本龍一キョージュの音楽も、観る者に圧倒的な勢いで迫る画面を強固に下支えしていた。
メロディは比較的抑えめで、むしろ音響的な楽曲が多い。この映画のストーリー自体が、感情に流されず理性で戦うという姿勢を貫こうとする人々(主人公も含め)を描いているので、情緒的な旋律は余り必要としていないということなのだろう。

しかし、クライマックスに至ると、冒頭で少しだけ聞こえた主題が高らかに鳴る。エンドクレジットでは、再びピアノ演奏でそれを聴かせる。数少ない、この映画におけるメロディアスなモチーフが、こうして実に憎い使われ方をされているのだ。
僕はこの旋律が、きっと主人公とヒロイン(ユージン・スミスとアイリーン)のテーマなのだろう、と感じた。

これは、世界中の多くの人に観てもらいたい映画だと思う。エンドクレジットで紹介される、数々の写真が物語るように、これは日本だけではなく世界レベルの普遍的な問題でもあるからだ。その意味においても、これはやはり海外で映画化される意義があったのだろう。

それから、今月は僕の好きな映画監督のひとり、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の新作『DUNE 砂の惑星』がいよいよ公開となる。
この分のチケットも既に確保してあるので、是非とも観に行かなくては。僕は、ヴィルヌーヴ監督の絵画的な画づくりの映画がとてもお気に入りなのである。


先日、SNSで作曲家の故 東海林修先生に関係したエントリを久し振りに見つけて、僕は驚いた。こ、これは、凄い!と思ったのである。映画版「銀河鉄道999」の2作品をオーケストラ生演奏付きで一遍に鑑賞できるという超大型企画なのだ!

あのゴダイゴのテーマソングで有名な第1作目『銀河鉄道999』と、その続編である『さよなら銀河鉄道999』である。僕は特にその『さよなら』の方をこの上演形式で観たくて堪らなかったので、もう喉から手が出そうだw
料金は、2作品分が込みとなっているためにちょっと高額だけれども、これは奮発して行ってこようかなあ…。この上映は、東海林修先生も泉下でさぞやお喜びであろうと思うのだ…。


(出典:promax inc.「銀河鉄道999/さよなら銀河鉄道999 シネマ・コンサート 〜一挙二作品上演プレミアム公演〜」)

ちなみに、映画第1作目(『さよなら』ではない方)は、今年の2月と6月にも今回と同じ企画で上演されている。つまり11月は再々演ということになるのだ。
かたや、『さよなら』の方はシネマ・コンサートとしては初演なのである。これが僕にとって、いちばん嬉しいことだというわけなのだ。

下の動画は、その2月上演時のダイジェスト。坂本龍一キョージュのオーケストラコンサートでも指揮者を務めたことのある栗田博文氏のタクトが、映画の展開とまさにピッタリで実に上手い。これは本当に感動的な演奏である…。


さて先週、すぎやまこういち先生が先月30日に逝去された、という訃報があった。言わずと知れた「ドラゴンクエスト」シリーズで余りにも有名な作曲家である。

90歳、先生の表現を用いれば「レベル90」であった。僕は、多年にわたるファンとして、遂にこの日が来てしまったのか…という思いが拭えない。訃報の見出しを見た瞬間、「あっ」と息を吸い込んだまま暫く止まってしまったのだ…。

実は、先月18日にNHK-FMの「クラシックの迷宮」という番組で特集が組まれていたことがあった。
「すぎやま先生の90歳を記念して」ということであったけれども、「誕生月の4月にはピアソラの特集をやったので時間がなくなってしまい、結局9月の放送になりました」という、いま思えばやや奇妙とも感じられるような理由を、司会進行氏は述べておられた。

当然ながら何も知らなかった僕は特集放送を嬉々として聴いた。それから十数日後に先生は亡くなられたわけだ。その不思議なタイミングを何と言ったら良いのだろうか…。ひょっとして、NHKは先生の容体をこのとき既に知っていたのか、どうか。
SSDコンポで、この放送を録音しておいたので(と言うか、この番組は毎週欠かさず録ってある)、折を見て聴き返してみようと思う。(実は、YouTubeで探せば聴くことが出来るようですよ…。内緒ですが)

思えば、一昨年の9月に東京芸術劇場で開催されたドラゴンクエストのオーケストラコンサートで、大きく両手を振る僕にこれまた両手で大きく振り返して下さった先生のお姿を忘れることが出来ない。
僕の知る限り、すぎやま先生が東京の公演でドラクエを指揮されたのは、結局これが最後となった筈である。翌年また同様のコンサートがあれば必ず足を運ぶつもりだったのだけれども、コロナ禍ということもあってか、開催はなかったのであった。

こうして、僕の好きな音楽家や芸術家たちが、ひとりまたひとりと世を去っていく。これもまた、我々の生きるという意味のひとつなのかも知れないと改めて思う。泉下のすぎやまこういち先生へ、心より鎮魂を祈りつつ、合掌…。

……
上に載せた、すぎやま先生のお写真は、5年前に発売された下の書籍を開いたときのものです。この本の中では、音楽家の先生、ゲーマーの先生、趣味人の先生、グルメの先生などなど、実に多彩なお姿を見ることが出来て、先生をいっそう身近に楽しむことが出来ます。本書でも紹介されているように、すぎやま先生はゲーム関係やクラシカルなカメラのコレクションを膨大にお持ちでした。これらも含めて、いつか「すぎやまこういち記念館」もしくは「ドラゴンクエスト・ミュージアム」のひとつとして一般に公開されてると良いなあ、と思います。きっと、そういったものが近い将来には設立されるのでしょうね…。
ところで、ドラクエは第12作目までは新作リリースが発表されていますが、それ以降はどうなるのでしょうか?だいぶ気の早いことではありますが、ふと気になったのでした…。

『ドラゴンクエスト30thアニバーサリー すぎやまこういちワークス~勇者すぎやんLV85~』
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