【超詳報】バファローズ初の日本一

今年の日本シリーズ「オリックスバファローズ26年ぶりの日本一」という報道には強烈な嫌悪に近い違和感を感じ続けている。ブレーブスやブルーウェーブからしてみれば、その通りであろう。しかしながら、近鉄「バファローズ」(大阪近鉄バファローズも含む)としては初の日本一なのである。そこんとこよろしく、である。

また、オリックスバファローズとその前身球団のうち日本シリーズに進出したことがある阪急ブレーブス、オリックスブルーウェーブ、大阪近鉄バファローズ、オリックスバファローズは全てヤクルトに対して日本シリーズで敗退しており、今回の日本一で初めてオリックス系列の球団がヤクルトに対して日本一を勝ち取った

↓↓↓日本一バファローズの優勝パレードである↓↓↓

第1戦
痛い山本での敗戦と負傷退場

ヤクルトの先発は小川、オリックスの先発は前年に続いて2年連続投手四冠を獲得した山本で始まった。

ヤクルトは1回裏、二死一・二塁からオスナの左翼線2点適時二塁打で先制に成功。対するオリックスは直後2回表、一死満塁から紅林の右前適時打で1点を返すと、さらに福田が押し出し四球を選び、同点に追いついた。それでもヤクルトは3回裏、無死から塩見の左中間へのソロ本塁打で勝ち越すと、続く4回裏にも、無死からオスナが左中間へソロ本塁打を放ち、4-2と2点差とした。オリックスの先発・山本が1試合で2本の本塁打を浴びるのは2020年8月11日の福岡ソフトバンクホークス戦以来、2年以上ぶりであった。山本はさらに5回裏、先頭打者・キブレハンへ3球目を投じた後、左脇腹の違和感を訴え降板。しかし、後を継いだ比嘉がこの回は三者凡退に抑えた。

ヤクルトの先発・小川は5回6安打2失点で降板すると、その後は6回・木澤、7回・田口と無失点で繋いだ。8回表に登板した清水は二死二塁から代打・T-岡田に中前適時打を浴び1点差とされるも、その裏に村上がオリックスの5番手・平野佳から今シリーズ初本塁打[注 14]を放ち、5-3と再び2点差とした。

9回表は抑え・マクガフが登板。一死一・二塁のピンチを招いたが5番・杉本、代打・頓宮を共に三振に抑え、ヤクルトが第1戦に勝利した。先発の小川は3度目の登板にしてシリーズ初勝利を挙げた。

第2戦
勝ち試合を土壇場で追いつかれ、敗戦に近い引き分け

ヤクルトの先発はサイスニード、オリックスの先発は山﨑福。

オリックスは3回、一死三塁から山﨑福の右前適時打で先制に成功。さらに続く安達の安打で一死一・二塁とすると、宗の右前安打を右翼手・サンタナがファンブルし、1点を追加した。5回表には、二死一・三塁から杉本の三塁適時内野安打で1点を追加し、3-0とリードを3点に広げた。

オリックスの先発・山﨑福は4回4安打無失点に抑えると、5・6回は山﨑颯、7回は宇田川が無失点で繋いだ。8回に登板したワゲスパックは、オスナ、中村の安打とサンタナの四球で二死満塁のピンチを招くも、長岡を空振り三振に打ち取り、3点リードのまま9回裏を迎えた。

9回裏は阿部が登板。先頭の宮本が二塁打、塩見が四球を選んで無死一・二塁のチャンスを作ると、代打の内山が左翼へ3点本塁打を放ち、ヤクルトが土壇場で同点に追いついた。それでも阿部は後続の山田、村上、オスナを抑えてサヨナラは許さず、試合は延長戦に入った。

10回表、オリックスはヤクルトの5番手・マクガフを攻め二死一・三塁とするも、後続が倒れて無得点。対するヤクルトはその裏、オリックスの6番手・本田を攻めて二死一・三塁とするも、塩見が一飛に倒れ、こちらも無得点に終わった。

その後、オリックスは12回表、二死から代打・頓宮が安打で出塁。代走・佐野皓が盗塁し二死二塁とすると、ヤクルトの8番手・木澤が紅林への投球を暴投。佐野皓は二塁から一気に本塁に突入し、タイミングはセーフであったが、投球がベンチに入っていたことでボールデッドとなったため得点は認められず、二死三塁で試合は再開した。オリックスはその後、紅林が四球を選んで二死一・三塁としたものの伏見が三直に倒れた。その裏、ヤクルトはこの試合初の三者凡退に倒れ試合終了。規定により引き分けとなった。

シリーズの引き分けは2018年第1戦(広島東洋カープ対ソフトバンク)以来4年ぶりであり、第2戦では史上初となった。

試合時間5時間3分は、2010年第6戦の5時間43分(延長15回)に続いて史上2番目の長さ、延長12回で終わった試合としては前年第6戦の5時間0分を超え史上最長の試合時間となった。両チーム合わせて投手16人が登板したが、これは2018年第1戦(広島対ソフトバンク、延長12回引き分け)の15人を上回り史上最多で、出場選手44人は同試合以来史上3度目のタイ記録となった。

第3戦
好投宮城が大不振山田に打たれ、完敗

オリックスの先発は宮城、ヤクルトの先発は高橋で前年のシリーズ第2戦と同じ投げ合いとなった。

オリックスは4回裏、一死二・三塁と先制のチャンスを作るものの6番・中川圭、7番・杉本が連続三振に倒れ、無得点に終わった。対するヤクルトは直後の5回表、二死一・二塁から、前の打席で、今シリーズ11打席目にして初安打を放った山田が、左越え3点本塁打を放ち先制に成功。山田はこれで日本シリーズ通算5本塁打となり、球団史上最多となった。

その後、ヤクルトは7回表に丸山のバントヒットと四死球で二死満塁のチャンスを作ると、村上が押し出し四球を選び1点を追加。さらに9回表には一死一・二塁から村上の2点適時二塁打(福田の悪送球で三塁進塁)、オスナの中前適時打で3点を追加し、リードを7点とした。

ヤクルトの先発・高橋は6回無失点に抑え、前年の日本シリーズ第2戦に続き15回連続無失点を記録。7回は石山、8回は清水がそれぞれ無失点に抑え、9回表終了時点で7-0と大きくリードした。

オリックスは9回裏、ヤクルトの5番手・小澤から中川圭、杉本、代打・西野の三連打で1点を返すも、後続が倒れて試合終了。ヤクルトが第3戦に勝利し、対戦成績を2勝1分とした。

この試合で勝利したヤクルトは、史上5球団目となる日本シリーズ通算30勝目を挙げた。

このカードの日本シリーズは前年から2点差以内の試合が8試合続いていたが、9試合目にして3点差以上の試合となった。

第4戦
バファローズ快進撃の始まり、強力継投で最小点差完封勝利

オリックスの先発は同年の交流戦でヤクルトに勝利した山岡、ヤクルトの先発は前年日本シリーズ史上セ・リーグ最高齢勝利投手となった石川で始まった。

ヤクルトは1回表、ヒットと投手・山岡のエラーで無死一・二塁のチャンスを作るも、山田、村上、オスナの中軸が倒れ、無得点に終わる。一方のオリックスは直後の1回裏、佐野皓の二塁打と2つの四球で二死満塁のチャンスを作るも、杉本が空振り三振に倒れ、こちらも無得点に終わった。

その後も両チーム共にランナーを出しながら無得点に終わり、0-0で迎えた3回裏、オリックスは先頭打者の中川圭が死球で出塁すると、二死二塁として、杉本が左前適時打を放ち、1点を先制した。

そのまま1-0で迎えた5回表、ヤクルトは一死から塩見が中越三塁打を放ち、一死三塁と同点のチャンスを作るとオリックスはここで先発・山岡から2番手・宇田川に交代。宇田川は続く山崎、山田を連続三振に打ち取り、無失点で切り抜けた。宇田川は6回表も続投。2つの四球で一死一・三塁のピンチを招くも、サンタナ、中村を連続三振に打ち取り、リードを守った。

7・8回は3番手・山﨑颯が登板。無安打無失点に抑えると、9回はワゲスパックが無死二塁のピンチを招きながらも無失点で凌ぎ、オリックスが1-0で勝利した。

オリックスは本シリーズ初勝利を、1996年第2戦(対巨人)以来、球団として日本シリーズ史上4度目となる完封勝利で挙げた。

育成ドラフト出身の宇田川が勝利投手。育成ドラフト出身の選手が日本シリーズで勝利投手となるのは史上6人目であり、入団2年目で記録するのは史上最速。

ヤクルトはオリックスを上回る6安打を放ち、初回の無死一・二塁など得点圏に5度も走者を進めながらあと1本が出ず、前年のCSから、高津監督体制下のポストシーズン16戦目にして初、日本シリーズでは2015年第5戦(対ソフトバンク)以来、球団史上6度目となる完封負けを喫し、もし勝利投手となれば日本シリーズ史上最高齢勝利投手となるはずだった石川の、5回1失点の粘投に報いることが出来なかった。

第5戦
出た!吉田正の強烈なサヨナラ本塁打!

先発はオリックスが田嶋、ヤクルトが山下輝。山下は新人投手の先発登板としては2019年第3戦の巨人高橋優貴以来3年ぶり、ヤクルトに限ると1992年・対西武第3戦の石井一久以来30年ぶり。

ヤクルトは1回、二死一・二塁からオスナの適時打で先制。続くキブレハンの右前打で二塁走者の山田が本塁を狙ったが、オリックスの右翼手・杉本の好返球でタッチアウトとなった。それでもヤクルトは2回、一死からサンタナの左中間へのソロ本塁打で追加点をあげた。

しかしオリックスは4回裏二死一、二塁から紅林、若月の連続適時打で同点に追いつき、5回裏には吉田正尚が今シリーズチーム初本塁打となる1号ソロを放ち、3-2と勝ち越しに成功する。

ヤクルトは6回表二死二塁から長岡の右前適時打で同点に追いつくと、塩見の二塁内野安打でチャンスを作り、青木がこの日3安打目となる右翼線適時二塁打を打ち、逆転に成功した。

9回裏、オリックスはマクガフから若月の代打・安達が四球で出塁し、福田が送った後、西野の投手強襲安打とマクガフの一塁悪送球で同点に追いつく。中川三振の後、吉田正がこの日2本目となる2点本塁打を右翼席に放ち、6-4でサヨナラ勝ち。2021年の第1戦と同様、マクガフはまたしても吉田正にサヨナラ打を打たれた。対戦成績は2勝2敗1分けとなり、優勝決定は第7戦以降に持ち越されることが決定した。第7戦開催は2013年楽天対巨人以来9年ぶり25度目で、神宮球場では1992年ヤクルト対西武以来30年ぶり2度目、当該対戦カードでは1978年以来44年ぶり。

日本シリーズのサヨナラ勝ちは前年の第1戦でオリックスが逆転サヨナラ勝ちをして以来日本シリーズ史上41度目、オリックスとしては史上3度目、吉田正のサヨナラ本塁打は、2018年の日本シリーズ第5戦の柳田悠岐(ソフトバンク、対広島)以来日本シリーズ史上17人目(18本目)で、オリックスの選手としては前身の阪急時代を含め初のサヨナラ本塁打、オリックスの選手による1試合2本塁打は1972年の日本シリーズ第3戦の阪急加藤秀司以来50年ぶり。また最初の3試合で2敗1分のチームが2連勝で成績を五分に戻したのは、1962年の日本シリーズにおける東映フライヤーズ(現日本ハム、対阪神)以来史上2度目となった。

第6戦
初回先頭打者の1安打に抑えた猛牛投手陣の凄まじさ

第6戦の先発投手は、ヤクルトが第1戦から中6日の小川、オリックスが第2戦から中5日の山﨑福。

初回はともに先頭打者を安打で出しながら後続が凡退し無得点、その後双方4回まで四球の走者以外を出せず無得点が続き、5回表オリックスが一死から紅林が両チーム通じ1回以来の安打で出塁したものの後続が凡退、その裏ヤクルトは三者凡退で、5回終了時点で0-0。

6回表、オリックスはこの日1番に起用された太田椋が2本目となる安打で出塁すると、宗の犠打と吉田正への申告敬遠などで二死一、二塁とし、杉本の右前打で太田が本塁生還し先制点を挙げる。その後なおも満塁としたが紅林が見逃し三振で追加点はならず。その裏ヤクルトもオリックス2番手宇田川から二死の後山田、村上の連続四球で一、二塁としたものの、オスナが三振に倒れ同点の機会を逃す。

9回表、オリックスはヤクルトの4番手マクガフから先頭打者の安達が安打で出塁、続く紅林の犠打をマクガフが一塁悪送球する間に安達が長駆生還し追加点、紅林も三塁に進塁し、一死後西野の犠飛で紅林も生還、3-0とした。

9回裏はワゲスパックが三者凡退に抑えてセーブを挙げた。

オリックスは7回以降3人の投手が1人の走者も出さず、今シリーズ2度目の完封勝利で3勝2敗1引分とし26年ぶりの日本一に王手をかけた。なお日本シリーズ史上、過去0勝2敗(1引分も含む)から3連勝で日本一に王手をかけたチームは6例あり、そのうち5例までもが日本一となっている。

敗れたヤクルトは小川が6回1失点と好投するも、初回の先頭打者塩見の安打以降無安打に終わり、特に7回以降は1人の走者も出せず1安打完封負けと打線が沈黙した。4番手のマクガフも痛い失点を許して3連敗を喫してしまい、後がなくなった。

第7戦
嗚呼、栄光の猛牛軍団

ヤクルトの先発は第2戦以来中6日でサイスニード、オリックスの先発は第3戦以来中4日で宮城。

オリックスは1回、無死から太田がサイスニードの初球をとらえ、中堅バックスクリーンに飛び込む本塁打で先制。これが日本シリーズで初の「初球先頭打者本塁打」となった。5回には2死満塁から吉田正が押し出しの死球を選び1点、さらには杉本の打球を塩見が目測を誤り(記録はエラー)、満塁の走者が全て還って3点を追加し先発のサイスニードをここでノックアウトした。

ヤクルトは8回、1死1・2塁から村上の適時打で1点、さらにオスナが3点本塁打を放ち1点差とした。しかし後続は凡退した。

オリックスは9回、ワゲスパックが三者凡退に抑え最後は塩見を空振り三振に討ち取りゲームセット。実にブルーウェーブの愛称だった1996年(対読売ジャイアンツ)以来、26年ぶり5度目の日本一に輝いた。

一方のヤクルトはレギュラーシーズン三冠王の村上が5打点をマークし、第6戦では2四球でチャンスメイクする場面はあったものの、シリーズ全体では第4戦から第6戦まで3試合連続無安打を喫するなど打率1割台で本塁打も第1戦の1本に抑えられ、山田に至っては第3戦に決勝点となる3ラン本塁打を放ったもののそれ以外に見せ場は全くなく打率は1割にも満たない程の極度の不振で、投手陣では抑えのマクガフが第5戦で逆転サヨナラ負けの救援失敗や同試合と第6戦の打球処理で2度の一塁悪送球する自滅など投打の軸となる選手の不調が響き、1980年の広島以来のセ・リーグ同一球団による日本一連覇はならなかった。

バファローズ日本一により記録された事項(私と同程度のマニア向け)
・21世紀以降9球団目で、かつパ・リーグ全球団による日本一達成となった。
・オリックスの中嶋監督は、秋田県の出身監督としては2007年の日本シリーズを制覇した中日の落合博満以来、2人目の日本シリーズ優勝監督となった。
・関西地区を本拠地とする球団としても自チーム以来26年ぶりだが、大阪府を本拠地とする球団に限定すると1964年の南海ホークス以来で、58年ぶり3度目の日本一となった。
・日本シリーズ優勝回数は、2020年ソフトバンク優勝時点で70年ぶりにパ・リーグが上回った後、昨年のヤクルト優勝により再び五分となっていたがオリックスの日本一により、パ・リーグが37回(セ・リーグは36回)で2年ぶりに1回上回った。
・2年ぶりに「パ・リーグ6球団とも最後に出場した日本シリーズで日本一達成」かつ「セ・リーグ6球団とも最後に出場した日本シリーズで敗退」となった。
・オリックスは今季4月10日、ロッテの佐々木朗希に完全試合を喫したが、完全試合を喫した球団の日本一はオリックスが初である。
・本拠地を東京都とするチーム対大阪府とするチームの対戦において2度目の勝利。過去12度で大阪府の勝利は1勝だけ(1959年南海が巨人に4連勝している。)だった。
・第3戦まで未勝利の球団の日本一は1989年の巨人以来5度目で、未勝利で先に2敗したチームの逆転日本一は2016年の日本ハム以来9度目。2敗1分から4連勝は1962年東映(現日本ハム)に続き2度目となった。
・前年日本一となった球団の日本シリーズ敗退は2013年の巨人以来で、9チーム目。
・前年日本シリーズ敗退球団の日本一は2007年の中日以来で、5チーム目。
・2年連続の対戦で優勝チームと敗退チームが入れ替わるのは2006 – 2007年の日本ハム – 中日以来で史上3度目。セ・リーグからパ・リーグに入れ替わるのは初。
・オリックスは1984年の広島以来、38年ぶりとなる全戦生え抜き日本人選手のみの先発メンバーで日本一を決めた。
・ヤクルトは1992年対西武、2015年対ソフトバンクに次いで日本シリーズ史上3度目(対戦3球団目)の敗退となった。過去日本シリーズで阪急・オリックスにも各1回、近鉄にも1回制していたが、初の敗退となった。なお、敗退した3度の日本シリーズの最終戦はいずれもヤクルトの本拠地・明治神宮野球場となっている。3勝未満に終わったのは2015年に続き史上2度目、ホームゲーム1勝のみは1993年、2015年に続き史上3度目。
・オリックスは寅年で初めて東日本以外に本拠地を置く球団の日本一達成となった。
・シリーズ合計得点が少ない方のチームによる日本一は2004年以来。

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