闘病記8 リバース

思わせぶりな書き方をしてきたが、僕の副作用は総じてのたうちまわるようなものではなかった。

それでも投薬が始まって3日目辺りから倦怠感とともに病院食が食べられなくなった。匂いがたまらず、また薄味に吐き気を催す。食後、食器と残飯を定められた場所に処分しに行くのだが、その場所に充満する匂いに耐えられない。しんどければベッドサイドに置いておいても良いと言われるのだが、少しでも動きたいので持って行くようにしていたのと、そもそも食べ残しが目の前にあることに視覚嗅覚ともガマン出来ない。

病院から、無理して病院食を食べる必要はなく、体力維持のために食べられるものを食べてくださいと言われていたので、家族には迷惑をかけたが、特に食欲のない時期には差し入れを毎日のようにしてもらっていた。その日に食べられそうなものを持ってきてもらうのだが、それでも食事の時間になると食べ物を前にすること自体が苦痛になった。

しかしドラマにあるような、嘔吐の連続のような事態ほどにはならなかった。吐き気止めの薬が発達してきているのだった。

ある日ネットを見ていて抗がん剤患者が、ある吐き気止めの新薬を投与されて「奇跡の薬!」と表現しているのを読み、主治医にこの病院では使っていないのかを聞いたことがある。

使用実績はない、とのことだったので「僕が試してみたい」と言ったところ使ってくれて本当に効果抜群で、すぐそれからその病院で使われることになったということもあった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)