ごみだらけの花見
今日は復活祭で、やっとのんびりした気分になった。復活祭は日曜と決まっているから、特に休みになるわけではないが、次の月曜は西ヨーロッパではどこの国でも祝日で、三連休になる。学校は一週間休みになるので、子供に合わせて休暇を取る人も多く、復活祭を挟んだ二週間くらいは仕事の量がガクンと減って有難い。
故郷の京都ではいま桜が満開らしいが、最後に日本の桜を見られたのはもう十年以上前のことになる。でも、こちらでも花が見られないということはない。あちこちの公園や、庭先などに花の咲く木が植わっていて、この季節になると毎日の犬の散歩のたびに、これは咲きそうだと目をつけておいた木々を巡って歩いている。正直に言って、どの木が桜なのか、あるいはすももの類なのか、はっきり見分けられるわけではないが、真っ白から濃いピンクまで色々なのが順に咲くので、それはそれで楽しい。
特に毎年楽しみにしている見事な八重桜が散歩コースにある。町外れで高速道路の入り口に近く、どちらかというと殺伐とした界隈にある空き地に、桜が数本植わっている。真っ白やピンクの一重のなかに、一本少し遅れて咲く八重があり、見事な花をつける。
しばらく前の朝の散歩の時に、今年ももう咲きかけているのではないかと空き地に入ってみたら、ゴミだらけになっているので仰天した。相当の人数の人間が草地で飲食して、ゴミをそのままにして立ち去ったようだ。浮浪者の宴会場か。イスラム系ではないようで、というのは安物のワインの紙パックが大量に散らばっているからだ。
今朝も、今日あたり満開ではないかと空き地をのぞくと、なんと男たちが何人か火をおこしてバーベキューの準備をしていた。早々に逃げ戻ったが、浅黒い顔でアジア系のように見えた。
野外の、指定された場所以外で火を起こしてバーベキューをするのは、こちらでも違法のはずだが、こちらの警察はそういう軽犯罪を通報しても、逆に「なんでそんな細かいことわざわざ言いに来たの」という扱いをされるだけなので、どうすることもできない。ただ、桜の木が傷つけられないことを祈るのみである。