闘病記7 はじまりの日々

抗がん剤治療は、壮絶な副作用との闘いという印象がある。

初めて抗がん剤投与のための点滴を繋がれた時、恐怖心と決意がない交ぜになった悲壮感につままれた気持ちになった。一体どんな苦しみが待ち受けてるんだろう。吐き気で七転八倒するのだろうか。

初日を終え、二日目も過ぎ徐々に軽い倦怠感が増してくるものの絶不調というほどでもない。何より吐き気もなく、家族からの差し入れの弁当や惣菜なども美味しく食べられるほどだった。「ちょっと拍子抜けするけど、この調子でいくといいなぁ」と家族とも話し合った。

主治医にも「意外とこんな感じなんですか?」と聞いたら、「個人差がありますからねぇ」と複雑そうな表情で答えられた。

ネットで様々な方の情報を見ても、初日から苦しんでいる人もいれば、まったくもって平気な人もいるようでまさに千差万別のようだった。そもそも一口に抗がん剤と言っても様々な種類のものがあり、同じ病気であっても各自によって薬の種類も量も異なり、副作用の出方も様々。

精巣腫瘍は抗がん剤による完治が期待できる分、大量かつ一気呵成に投薬する必要があるタイプのガンなので副作用も厳しいとは聞いていた。

そんな中でのはじまりの日々だったので拍子抜けもしていたが、やはり3日目くらいから雲行きが怪しくなってきた。

 

 

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