もっと読みたい!その通り!

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中江有里さんと言えば、おとなしめのアイドルという印象が強かったが、実は猛烈な読書家であり、作家でもあった。そんな彼女が、幼少の頃から2人3脚で歩んできた本について、想うままに書き綴ったエッセイ。まず、読書に臨む姿勢にとても魅かれた。

受け身なのは読者ではなく、常に「本」の側なのですね。人がページを開いてくれるその時まで、じっと待ち続けている「本」ほど、我慢強く受動的なものはありません。

だから「本」と付き合う時は、自分から迫っていき、追い求めて、その世界に割って入る。そうした姿勢で挑みます。わたしは子どもの頃から自他共に認める内向きな性格ですが「本」に対する際はかなり積極的です。

スイカの甘さが少々の塩で引き立つように、読む努力は、読書の楽しさをより高めてくれるのです。

そして、本書で取り上げている本のジャンルの、幅広いこと。詩から純文学、エッセイ、科学、歴史、ノンフィクション、憲法本と、本の洪水の中を自由自在に泳いでみせる。文章が分かりやすく、本への深い慈愛がじんわりと伝わってくるのが素晴らしい。

個人的には、「島清」こと島田清次郎の評伝まで読んでいることに驚いた。こんな、超・知る人ぞ知る、的なレア作家にもアプローチしているとは! こういう人がいてくれるからこそ、平凡な読書家も勇気づけられるのですよ。本当にありがとうございます、と申し上げたい。

次の言葉が、とても印象に残る。

「積ん読」本と「積んでいるだけの本」はまったく違います。両方未読であることは同じ。しかし「積ん読」本は、いつか読むつもりの本。本を買った時の自分が、未来の自分に読ませたいと思った本です。投資本と言ってもいいかもしれません。

(中略)誰でも勉強のために必要な本はすぐ読みますが、実はそれ以外の一見無駄と思われる読書にこそ、本当の教養が備わっている。そう、積ん読本は無駄じゃない。

無駄じゃないんだ、やったー!と心の中で喝采し、勇気づけられたのであった。

https://honto.jp/netstore/pd-book_26195795.html

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