改めて思う。もしこの番組がなかったら、日本のプロ野球はどうなっていただろうか?
1976年にフジテレビ系列でスタートした「プロ野球ニュース」は、プロ野球の魅せ方、楽しみ方を大きく変えてしまった。そして、プロ野球自体も。今では伝説となった、そんな同番組の関係者たちにじっくりとインタビュー、貴重な証言を基に構成したドキュメント。
「プロ野球=巨人」が常識だった時代、パリーグの試合も公平に取り上げ、元選手の解説者がじっくりと解説する。オフシーズンにも、時には選手自身が出演するさまざまな企画を放映し視聴者を楽しませる。フジテレビだけでなく、関西テレビや中京テレビ、テレビ西日本、テレビ新広島といった系列局も積極的に制作へ関与する。
作り手たちの熱い思いが詰まった、まさに「革命」だった同番組は、プロ野球ファンたちに歓迎された。
私も子供の頃、全国中継など滅多にされない、阪急、南海、近鉄の在阪パリーグ球団の試合を取り上げてくれたのが、本当に嬉しかった。球場に観戦に行った日の放送は、俺映ってないか!と目を皿のようにして番組を見るのが常だった(何せ、観客席ガラガラだからとても目立つ・笑)
人気番組となってから、看板だったメーンキャスター・佐々木信也氏の交代と野球には全く縁がなかった中井美穂アナウンサーたちの起用、番組の大幅刷新、プロ野球人気の退潮に伴う番組のパワーダウン、そして2001年の地上波放送終了――。その裏側がおそらく初めて、明らかにされる。みんな、本当に真剣だったのだ。心からお疲れ様でした、と感謝申し上げたくなる。
著者は、間違いなく番組成功の大きな立役者の1人、佐々木信也氏を野球殿堂に!と主張する。
日本プロ野球に「報道革命」をもたらした『プロ野球ニュース』の象徴である佐々木氏こそ、(野球殿堂入りの)対象規定の中に記されている「野球の発展に顕著な貢献をした人」であることに疑いを持つ者はいないはずだ。
全く異存なし。佐々木氏はもう80代、1日も早く実現を!
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198643737