本好きの高校生たち。聞くだけでなんだか目の前がまぶしくなってくる。若いって、もうそれだけで猛烈な輝きを放っているのに、その上読書好きだなんて!と。
札幌の高校の図書室を軸に、司書の先生が本好きの生徒たちと交わした貴重な言葉で構成した一冊。ここには、みずみずしい感性が溢れかえっている。登場する13人それぞれが、独特の視点から自らの思いを語っていて、引き込まれる。
例えば、寺山修司に刺激を受けて、読書体験記コンクールにチャレンジした男子生徒の場合。
人は本来、その頭の中にいつくもの考えが混在しているものなのだろう。ある事象に対して、それが善か悪かなんてはっきりとは言い切れない。その両面が必ず見えている。だが、一つの主張をするためには、自分の中の矛盾を押し殺さなくてはならない。伝達手段としての文章にはある程度の整合性が必要だからである。
そういうとき、わたしは、言葉の切っ先が自分の喉元に突きつけられているように感じる。息が苦しくなり、鼓動が速くなる。それでもわたしは書くことをやめられない。それはきっと、くるしさの中で書かれた文章ほど魅力的になるということをうすうす感じてるからなのだろう。
吹奏楽部でクラリネットを吹く女子学生の場合。
ながいこと本を読まないと、枯れる、気がする。こころ? かどこかそのへんが。読みたい、とも思わなくなってしまうと、それはもうかなり重症な脱水症状なのかも。
時にはあまりにストレートで、あまりに難しく考え過ぎて袋小路にはまりそうで、それでも時にはすがすがしいほど明るい。本を触媒として、おのおのが好奇心や探求心を膨らませ、思索を重ね、自分なりの結論を生み出し、成長していく。そんな姿が、おっさんには目がくらむほどまぶしい。
そんな若い人たちから滋味深い、とても印象深い言葉を引き出した司書の先生にも感謝。素敵な感性に触れたいと思ったら、ぜひ一読を。
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