「フクロウを自宅で放し飼いにしよう!」って、どうやったら思い付くんだろう?
鳥好きなら、自然とそういう発想にたどり着く可能性はあるのかな?
この本を手に取って、まず頭に浮かんだ疑問。
著者は、近所にできた「フクロウカフェ」でフクロウのひなに出会い、そんな決意をしたのでありました。
私の都合に合わせて飼うのではなく、せめてできるかぎり、ぽーにとっての自然を大事に大事に暮らしていこう。
私はぽーを「ペット」と言う気になれない。…なかなか複雑なのである。
でも、この本を読むにつれ、著者のフクロウへの思い入れ、愛情が何となくだけど、わかるような気がしてくるから不思議。
名付けたのが「ぽー」。このセンス、いいわ~(^^♪
エサは冷凍したウズラを著者自身が解体して毎日与え、悪臭のふんにも悩まされ…と、飼い始めてからいろいろな苦労に直面するけれど、フクロウの野生をできるだけ残そうと懸命に配慮する著者。そんな愛情に、ぽーも成長する中で、徐々に応えるかのように行動していく。本当に、適度な距離を保ちつつも、お互いに信頼関係を着々と築いていくのだ。
ぽーを飼うことになった結果、私の世界は確実に広がった。次にどんな人に出会うか、どんな景色を見ることになるか、まるで子どもにかえったように、真新しい期待が胸に広がる。
人間と猛禽類が対峙するって、もっと厳しさに満ちている関係を想像したけど、実にほのぼのとした世界が広がっている。きっと著者のキャラクターに負うところも大きいんだろうな。収められている写真とイラストが、また味わい深くていいのですよ。鳥好きじゃなくても、ぜひ読んでほしい。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815361/