アメリカとウクライナのファーストレディー同士、ウクライナで対面 米政府は追加制裁発表
<東欧訪問中のジル・バイデン米大統領夫人は8日、ウクライナ・ウジホロドの学校で同国のオレナ・ゼレンスカ大統領夫人と対面し、会談した。ウジホロドはスロヴァキア国境沿いの町で、バイデン夫人はスロヴァキアから国境を越えた。2月24日にロシアの軍事侵攻が始まって以来、ゼレンスカ夫人が公の場所に出るのは初めて。米政府とカナダ政府は同日、ロシアに対する追加制裁を発表した。>
<ゼレンスカ氏は、戦時下のウクライナをアメリカの大統領夫人が訪れるのは「勇敢な行為」だったとたたえた。さらに、5月8日はウクライナでもアメリカでも「母の日」にあたるため、この日の訪問はとても象徴的だと話した。>
<この日にはカナダのジャスティン・トルドー首相がウクライナ・イルピンを予告なしで訪れた後、ゼレンスキー大統領と対面で会談した。イルピンは首都キーウの近郊で、開戦当初ロシア軍の激しい攻撃を受けた。
ゼレンスキー氏と会談後の記者会見でトルドー首相は、ウクライナへ追加軍事支援を提供するほか、ロシアの個人や法人への追加制裁も発動すると発表した。>
アメリカのファーストレディーはなんと政治的なんだろう。
単独で東欧だけでなくウクライナまで行きファーストレディー外交を実施した。
何かを決めることではなく、行くことに意義を持たすのだ。
日本では考えられない。
もちろん、今の日本自体に力がないこともあるのだが。
カナダにはウクライナ系カナダ人が100万人以上いる。
ホロドモールから逃れるため、第2次世界大戦前にカナダへ移住してきた子孫だ。
スターリンによるウクライナ人に対するジェノサイド。
その記憶があるから国民はロシアに必死に抵抗するのだ。
カナダの首相も多くのウクライナ系カナダ人を抱えていることから、今回ウクライナを訪問し、追加の軍事支援を発表したのだろう。
歴史を顧みるとロシアとウクライナとの関係には日本人には分からない深いものがある。
プーチン大統領だけでなく、ウクライナのゼレンスキー大統領も戦争を長引かせているという意見もあるが、そんな単純に割り切れるものではないのだ。
【寄稿】 「プーチン氏の前にはもはや種々の敗北しかない」 英の国防専門教授
<ロシアでは毎年5月9日を、第2次世界大戦の対独戦勝を記念する「戦勝記念日」として祝う。モスクワで予定される毎年恒例の軍事パレードなど、各種の祝賀行事でロシア政府が何を主張するにしても、現状はウクライナに対する勝利とは程遠い状態にあると、イギリスの国防研究者、マイケル・クラーク教授は指摘する(文中敬称略)。>
<プーチンが2008年以降、世界各地で実現した軍事的成功はどれも、小規模の精鋭部隊と雇い兵と地元の民兵集団、そしてロシアの空軍力を組み合わせて実現したものだった。
ジョージア、ナゴルノ・カラバフ、シリア、リビア、マリ、そして2014年にウクライナで2度、ロシア政府は低コストで介入し、相当に有利な立場に立った(2014年にウクライナで2度というのは、まずクリミアを違法に併合したのち、ロシアに従属するルガンスクとドネツクの自称共和国を作ったことを指す)。>
<今年2月に彼は、同じことをウクライナで、最大級の規模でやろうとした。人口4500万人の国、領土面積でいうと欧州で2番目に大きい国の、政治的実権を約72時間のうちに奪取しようとしたのだ。驚くほど無謀なギャンブルで、最も大事な第1週で、その賭けは完全に失敗した。>
<ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の軍隊や、外の世界が反応できる前に、首都キーウ(ロシア語でキエフ)の政府を支配下におくという「プランA」の実現に失敗した後、ロシア政府は「プランB」に移った。これは「プランA」よりも「作戦展開」を重視する軍事的な計画で、まずキーウを包囲してから、チェルニヒウ、スーミ、ハルキウ、ドネツク、マリウポリ、ミコライウといった他の主要都市を攻略しようというものだった。降伏か全滅かと首都キーウを脅かす間に、ウクライナの武力抵抗をあっさり消滅させようというのが狙いだった。>
<戦況の停滞にいらだつロシア政府は、今度は「プランC」に移行した。これはキーウと北部の制圧を諦め、その代わり、東部ドンバス地域からおそらく南西部オデーサに至る南部全域に大攻勢をかけるため、戦力を集結させるというものだ。主要な港湾都市オデーサを含む南岸一帯をロシアが掌握すれば、ウクライナは事実上、内陸国になってしまう。>
<戦闘が秋になって膠着状態に陥った場合、それまであまりに多くの損害と苦しみを重ねたロシアに、プーチンはほとんど何も成果として示すことができないはずだ。戦況の勢いが変わり、ロシア軍が後退させられる事態になれば、なおさらだ。そして、たとえロシア軍がドンバス全域と南部全域の制圧に成功したとしても、ロシア軍を追い出したい数百万人のウクライナ人を前にして、いつまでも両地域を押さえ続けなくてはならない。>
<ウラジーミル・プーチン大統領個人は、もう後戻りできないし、戦争犯罪人として起訴される可能性さえある。彼に残された唯一の政治的な戦略は、ウクライナでの戦争を実際とは異なる何か別の物に作り替えることだ。たとえば、「ナチス」に対して、そして喜々としてロシアを敗北させたい西側諸国の「帝国主義者」に対して、ロシアは存亡そのものをかけて戦っているのだとする、そういう文脈に。>
この寄稿文を読むとプーチン大統領はこれまで通り、ウクライナを2日間で制圧して、欧米諸国から非難を浴びても実績を作れば勝ちのような考え方でいたのだ。
それが、長期化して泥沼に入ってしまった。
今や戦争を続け、ウクライナを内陸国にするプランCを実行しているのだが、それも危うい。
例え、制圧できたとしても、ウクライナ人を掌握するのに、軍隊を常駐化するのに、人そしてコストが重くのしかかり、泥沼から抜け出せないことになる。
G7、ロシア産石油を禁輸へ
<【5月9日 AFP】先進7か国(G7)の首脳は8日、ロシアのウクライナ侵攻への対応などをオンラインで協議し、ロシアからの石油の輸入を段階的に禁止することで一致した。>
<米国はすでに禁輸に踏み切った。それに対し、ロシア産エネルギーへの依存度が高い欧州連合(EU)は、ロシア産ガスへの依存度を年内に3分の2減らす方針を示しているが、ドイツが全面禁輸に反対するなど、調整が難航している。>
ドイツはロシアからパイプラインで天然ガスを供給されていたので、液化天然ガスを輸入するために対応できる施設がない。
簡単にはロシア産ガスを止めれないのだ。
石炭>石油>天然ガスの順に二酸化炭素の排出量が小さい。
地球温暖化問題と経済性とロシアへの経済制裁のすべてを満たす方法が難しいのだ。
これは各国で原子力発電所を高稼働させてEU内でシェアするしかない。
こういう時、島国日本は困るのだが、原発の高稼働は必須だ。
テロ対策に問題があって、稼働できないのならば、自衛隊を配置すればよい。
軍事で戦っているのはウクライナとロシアだが日本はG7の一員としてロシアとの経済戦争を戦っているという覚悟を持たなければならない。
その覚悟がないならば、中国やロシアに跪くしかない。