ウクライナ、製鉄所内の兵士救出に「あらゆる手を尽くす」 ロシアは兵士を尋問へ/ウクライナ侵攻での「ロシアの状況は悪化する」 ロシア軍退役大佐が国営テレビで発言/「過去最大」のICC調査団、ウクライナに派遣/小麦輸出一時停止のインド、輸送が混乱/ロシア軍の弱みとウクライナ軍の強み 語られていない軍事的視点

ウクライナ、製鉄所内の兵士救出に「あらゆる手を尽くす」 ロシアは兵士を尋問へ


<ウクライナ国防省のハンナ・マリャル次官は17日、南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に取り残されているウクライナ側の戦闘員を救うため、同国として「可能なことも不可能なことも全て」行っていると述べた。また、製鉄所に残る兵士の数は把握しているが、「機密情報」だと強調した。一方、ロシアの検察当局は、前日に製鉄所を退避したウクライナ兵全員を尋問すると発表した。>

ロシアの高官はネオナチの軍隊だから犯罪人で捕虜交換などありえない、裁判にかけると言っている。
旧ソ連に郷愁を抱くプーチン大統領のことだから、自らの理屈に従い行動するのではないか。
すなわち、ネオナチがウクライナ東部でロシア系住民を虐待したから戦っている。
彼らが犯罪者なのだからと。
それを突き通さないとロシア国民を一致団結させることが出来ないと。

ウクライナ侵攻での「ロシアの状況は悪化する」 ロシア軍退役大佐が国営テレビで発言


<ロシアの主要メディアはウクライナでの戦争について、国外ではまず見られないような視点を提供している。まず、戦争と呼ぶことすらしない。しかし、16日に国営テレビで放送されたある番組で、驚くべき珍しいやりとりがあった。>
<16日の夜、軍事アナリストでロシア軍退役大佐のミハイル・ホダレノク氏は、全く違う見方を示した。
ホダレノク氏は番組の中で、ウクライナが欧米から追加の軍事支援を受けると「(ロシアにとっての)状況は明らかに悪化する」、「ウクライナ軍は100万人を武装化できる」と警告した。>
<「(ロシアの)軍事的・政治的状況の最大の問題は、どんなに認めたくないとしても、我々が政治的に完全に孤立し、全世界を敵に回している点だ。この状況を解決しなければならない」
「我々に敵対する42カ国の連合が存在し、我々の軍事・政治的な、そして軍事技術的な資源が限られている状況は、正常とは言えない」>

ホダレノク氏は、ロシアがウクライナに侵攻する以前の2月、ロシアの防衛専門誌への寄稿で、「ウクライナとの軍事紛争はロシアの国益にはならない」と結論付けていた。
これはテレビだ。
政府は止めることもできたはずだ。
流したことに意味がある。
一つはマスコミの中に反プーチン派がいる。
もう一つは政府が意図的に流して、国家総動員で世界を相手に戦うことを国民に覚悟させることだ。
正義はロシアにあることを国民に浸み込ませ、長期戦に備えているのだろう。
ロシア国民は自分たちが迫害されていると思えば一致団結するのではないか。
まだまだ、戦いは続きそうだ。

「過去最大」のICC調査団、ウクライナに派遣


<【5月18日 AFP】国際刑事裁判所(ICC)は17日、ロシア軍の侵攻後にウクライナで起きた戦争犯罪の疑いを調査するため、42人から成る調査団を同国に派遣した。ICC創設以来、最大の調査団派遣だとしている。
ICCのカリム・カーン(Karim Khan)主任検察官の発表によると、調査団は捜査官のほか、犯罪科学の専門家や補助員から構成され、ウクライナ当局と協力しながら「軍事攻撃に関連する」証拠や証言を集める予定。>

これまでアフリカ諸国で発生した犯罪についての立件が多かったため、今回ウクライナで起きたロシア軍の犯罪立件に力を入れ、かつ失敗できないプレッシャーもあるだろう。
ウクライナでのロシア軍の虐殺がどこまでたどれるかは分からない。
また、立証されてもロシアはICCに加盟していないので、逃げ切れる可能性が大きい。
ちなみに中国も加盟していない。
民族浄化政策など犯罪だと思うのだが、そこまで手を届かせないのが中国のやり方だ。

小麦輸出一時停止のインド、輸送が混乱


<【5月17日 AFP】インドが先週、インフレや食糧安保をめぐる懸念から小麦の輸出を突然一時停止したことを受けて、17日には同国の主要港で多数のトラックや船が小麦を積んだまま行き場を失うなど、輸送が混乱した。
世界第2位の小麦生産国であるインドは13日、輸出業者が政府の許可なく新たに輸出契約を結ぶことを禁止する命令を出した。>

小麦の生産量の推移は下の表の通り。
単独の国ではインドは世界2の生産国だ。
3位のロシアからも輸出が出来ないと世界の貧困国で食料不足が起こる。

世界の小麦生産量の推移
(単位・・・千トン) 2017/18 2018/19 2019/20 2020/21 2021/22
EU 136,681 123,124 138,741 125,942 138,200
中国 134,334 131,430 133,590 134,250 136,000
インド 98,510 99,870 103,600 107,860 108,000
ロシア 85,167 71,685 73,610 85,354 85,000
米国 47,380 51,306 52,581 49,691 47,519
カナダ 30,377 32,352 32,670 35,183 31,500
ウクライナ 26,981 25,057 29,171 25,420 30,000
オーストラリア 20,941 17,598 14,480 33,000 28,500
パキスタン 26,674 25,076 24,349 24,946 27,000
アルゼンチン 18,500 19,500 19,780 17,630 20,500
トルコ 21,000 19,000 17,500 18,250 17,000
イラン 14,000 14,500 16,800 16,750 15,000
イギリス 14,444 13,455 15,600 9,658 14,800
カザフスタン 14,802 13,947 11,452 14,256 13,000
エジプト 8,450 8,450 8,770 8,900 9,000
ブラジル 4,264 5,428 5,200 6,250 6,900
その他 60,126 59,750 65,591 62,475 64,480
世界合計 762,631 731,528 763,485 775,815 792,399

日本は小麦を主にアメリカ、カナダから輸入している。
ロシアのウクライナ侵攻で世界全体で小麦が不足し、値上げが目に見えている。
日本での値上げは、今は円安の影響が大きいが、そのうちさらに値上げするだろう。
ロシアは、自国が戦場になっていないので、経済制裁を受けても食べるものには困らない。
戦争が長期化しても、経済制裁の影響を耐えしのぐのではないか。
これは、ロシア人が耐えるのに長けているという思い込みがあるののだけど。

ロシア軍の弱みとウクライナ軍の強み 語られていない軍事的視点


<ロシアやウクライナについて、その分野の専門家の解説は勉強になり、頭に刻み込むことも少なくないが、不思議でならないこともある。ロシアのウクライナ侵攻から2カ月半になるというのに、押さえておかなければならない軍事的な視点がほとんど提示されていないのだ。>
<そのロシア軍戦車が平坦地形で戦おうとすると、側面を狙われるし、ジャベリン対戦車ミサイルなどは上部装甲を狙うトップアタックモードで攻撃してくる。いくら弁当箱のようなリアクティブアーマー(対戦車ミサイルなどの破壊力を低減させる増加装甲)をまとっていても、戦車の機動力を発揮する戦いには向かないのだ。>
<いかにもウクライナ軍の戦車戦力が劣勢のように報道されるが、ウクライナ軍は主力のT-72をはじめ約2600両の戦車を備えてきた。実戦投入可能なものを1000両弱として、今回の戦闘で損耗した分を差し引き、稼働率を考慮しても相当数が残っている。ポーランドとチェコからの200両以上も加わる。
これに対してウクライナ戦線に投入された侵攻ロシア軍の大隊戦術グループ(BTG)の戦車は合計1200両ほど。その500両以上が撃破され、ロシア本国からの補充を待つ状態に置かれた。守る側の3倍以上を投入しなければ勝てないとする攻者3倍の法則からしても、ロシア軍のほうが劣勢なのは間違いない。>
<例年の凍土状態ならロシアの機械化されたBTGはいくつもの方面からキーウに進撃できたが、今年は温暖化で泥濘(でいねい)と化して、キャタピラを履いた戦車でさえ足を取られてしまった。>

普段であれば軍事評論家としてテレビに出ずっぱりの小川和久さんの姿が見えない。
お歳を取られたのか、今回は最初からテレビ出演を辞退されているとのことだ。
クリミア半島を奪われた時、何もできなかったウクライナ軍を米英が軍事指導を行ない、戦争中に情報も流している。
両国ともソ連が開発したT-72戦車が主力であるが、その欠点を指摘し、ウクライナ軍が負けていないことを述べている。
このような解説がテレビ放送でなされないのは何故か。
ロシアの侵攻が進まないのか、その原因について説明しないのか。
人材がいないのか、テレビ局が求めていないのか。
感情で押した放送の方がよいと感じる人がテレビを見ていると判断しているのなら、テレビ離れはより加速するぞ。
既にYouTubeでの解説を見ている人の方が多いのかな。
あ、私は活字派なんですけど。

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