広瀬章人という棋士は大記録を阻むという点では昨年度以来、特筆すべき実績を残している。羽生のタイトル百期阻止と昨日の藤井聡太七段の史上最年少タイトル挑戦阻止だ。本局も竜王戦3連敗中、しかもほぼ全人類が藤井応援の超弩級アウェーの中、よくぞ踏ん張った。藤井聡太七段は結局、この人類代表選抜リーグにおいて、名人と竜王にのみ土をつけられ挑戦権を逃した。(広瀬竜王5勝1敗、豊島名人4勝2敗、藤井七段4勝2敗)
序盤は矢倉。実は藤井聡太七段の矢倉採用時の戦績は.914(32勝3敗)であり、先手番では全勝(12勝)である。かつては純文学扱いされていたが、研究が進み先手番での勝率下落から増田康宏六段をして「終わった」と言わさしめた矢倉が今また静かに甦ろうとしている。
本局ではそこから藤井聡太七段が駒得した直後より広瀬竜王の猛烈な攻撃が始まった。70手付近では藤井矢倉は崩壊し竜王矢倉は堅陣のまま。残り時間にも差がありほぼ勝敗は決したように見えた。
ここからが将棋の醍醐味である。藤井17歳が老獪な差し回しで決め手を与えず粘り強くしのぎ、ほぼ必勝まで持ってきた矢先の▲68歩打(111手目)が急転直下の敗着。最後の直線で落馬したくらいの逆転負けである。これは待ち構えていた報道陣以上に藤井聡太七段には大ショックだったのではないだろうか。
広瀬―藤井戦は、広瀬竜王が中盤、巧みな攻めで優勢に立ちましたが、藤井七段が粘り強くしのぎながら反撃して、一時は逆転して検討陣から「藤井勝ち」の声も上がりました。しかし広瀬竜王の最後の手を藤井七段が「うっかりしていた」と話し、広瀬竜王の再逆転での勝利となりました。 pic.twitter.com/JqiPvfmbvx
— 毎日新聞・将棋 (@mainichi_shogi) November 19, 2019
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