15時35分藤井聡太王位投了。100分以上も持ち時間を残しての投了、2日制で初めての敗北。いやはや、渡辺明をはじめ、あらゆる棋士をなきものにせんが如くの勝ちっぷりを誇ってきた藤井聡太に何があったのか。
理由として考えられるのは相手が豊島将之竜王だったということである。これで豊島竜王の対藤井王位は7勝1敗。(ちなみに渡辺明の対藤井王位は1勝7敗)明らかにおかしい。対局相手をリスペクトしすぎ、神格化しすぎということがあるかもしれない。同郷の先輩であり、仮定の話になってしまったが、藤井聡太の師匠は豊島将之であった可能性もあったのである。それ故に手が委縮して形勢を損ねた、とも考えられなくはない。
先手番相掛かりということで、私としては藤井王位の優位は揺るがないと考えていた。が、どうも調子がおかしい。端を突き合い、互いに端歩を取り込んで攻め合う激しい将棋。藤井飛車がちょこまか動いてその間に豊島竜王の両桂が手順に跳ね出し、藤井両桂はそのまま。ちぐはぐな動きに対して先攻しての攻めが好調。ギアをあげたこの香打ちが激烈至極、強い豊島将之がようやくタイトル戦に戻ってきた喜びを感じる一撃である。
第2局が楽しみだ。次は豊島竜王の先手番である。初戦の勝利を活かすには第2局も勝つ以外にない。それまでに藤井聡太王位は棋聖戦の第3局もある。本局の敗北で壊れていなければ、渡辺明をスイープで負かして棋聖位を防衛し、気分一新第2局に臨んでくる可能性が高い。それに勝ちきってこそのラスボス豊島将之である。当然叡王位もそう簡単に譲るわけにはいけない。この夏は冷房の効いた部屋で12番勝負を存分に楽しむ。
11時ごろの様子。竜王快調、このあと右下の香車も消えて珍しい形に。