7BookCoverChallenge+ -Day6 つげ義春『つげ義春日記』

02 日記
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緊急事態宣言、延長決定の翌朝だ。

【書名】つげ義春日記
【著者】つげ義春
【出版社】講談社文芸文庫
【刊行年】2020年

活字はまずまず目を通すけど、漫画はあまり読まない(読めない)ぼくだから、当然つげ義春のいい読者ではない。それでもこの本を買ったのは、〈ジャケ買い〉もあるけれど、日記だからでもある。

ここに収められているのは、1975年~80年の日記だ。結婚して長男も誕生、家族を持った漫画家は、「ねじ式」「紅い花」など数少ないながらも、高い評価を受けた作品が人気を博して、生活上こそ安定を得た。しかし新作はなかなか進まず、将来への不安を抱えながら、そこに育児の苦労、妻の闘病が重なっていく。

解説の松田哲夫はこう書く。

日常生活のすべてが、不安との駆け引きに終始しているようだ。不安とのせめぎ合いは、『日記』(とりわけ後半)の最大のテーマだが、これもリアルに書くと悲惨になる。つげは、不安を生き物かなにかになぞらえて語ったり、不安神経症を客観的にとらえる文章を挿入したりと、悲惨な私小説におちいらないような工夫をこらしている。さりげないユーモアをまじえた軽妙な文体で、読者への気配りを示す。見事な私小説である。

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