先日、ぜんぜん身に覚えのないメールが届いた。
某銀行のクレジットカードの登録終了と、
某航空会社系のポイント登録完了と、
アメリカへの渡航申請登録と、それに伴う
ペイパルの支払い完了のお知らせメール。
私はまったくあずかり知らないメールばかりだ。
やられた！
私の個人情報がどこかで流出し、
銀行口座が乗っ取られたに違いない。
犯人がどんな奴だか知らないけれど、
私の口座で勝手にクレジットカードを作り、
マイルがたまるポイントカードを作り、
ペイパルで何か必要な物を大量に買い込み、
アメリカに逃げるつもりに違いない。
被害額にしたら数万ではおさまらない。
どうする？
今すぐ警察に届けなきゃ。
被害内容を確認するためにメールをよく見ると、
宛名は私ではない別の人の名前になっている。
どうやら名前まで騙られているようだ。
しかも、パスポート番号までばっちり載っている。
私のパスポートはとっくに期限が切れているので
つまり、別の人の名前を使ってパスポートを作り、
別の人の名前でクレジットカードを作り、
別の人の名前でマイルを貯め、
別の人の名前でペイパルから送金した、と。
そして、別の人の名前で渡米しようとしている、と。
ん？
ちょっと待て。
それって、別の人がただ単にカードを作り、
ペイパルで送金し、渡米するって話じゃないか？
もしかして、どこかの誰かが渡米するにあたって
いろんな金融機関などに登録しまくった時、
メールアドレスを間違えたのではないか？
それがたまたま私のメールアドレスだったため、
その人の個人情報が私のところに流出しているのではないか。
よく考えたら、そうとしか思えない。
その証拠に、頼みもしないメルマガが毎日届く。
間違っているよと教えてあげたい気持ちは山々だが、
分かっているのは名前と誕生日とパスポート番号だけで
どこの誰なのだかさっぱり分からない。
届いたメールは送信専用で、返信しても意味がない。
わざわざたくさんのクレジットカード会社を調べて
いちいち間違ってますと伝えるほど親切ではない。
そうだ！ 登録アドレスにメールをすれば！
……ダメだ。
メールをすると、もれなく自分に届いてしまうのだ。
というわけで、
今夜も見知らぬメルマガが届くのを眺めつつ
多分、渡米を前に浮かれているであろう
見知らぬ●●さんをうらめしく思う夜。