第77期将棋名人戦七番勝負第1局第2日 千日手指し直し局は挑戦者の研究の広大さに名人惨敗

2018年度中の表彰対象である昨年の名局賞は、第76期名人戦七番勝負第1局 佐藤天彦名人vs羽生善治竜王の1局であった。受賞に値する大激戦で、敗れても天彦強し、と感じさせてくれた。しかし、今日のこの千日手指し直しの1局は一方的に豊島2冠に屈した感がある。名人位奪取した時の後手横歩取りはまさに無敵であった。今日はそれで負けた。あえて大一番で指したからには秘策があると思ったのだが、後手横歩取りはやはりもう駄目なのだろうか。状況はかなり苦しい。最近の各棋戦での活躍、対戦成績、棋譜をみても現名人の天彦より挑戦者の豊島に分がありそうだ。

もっとも、タイトル戦での天彦の初戦の負けは定番で以下のようになっている。

[佐藤天彦タイトル戦全成績]
2015 王座戦 ●○○●┃● 2-3で敗退
2015 棋王戦 ●○●●┃ 1-3で敗退
2016 名人戦 ●○○○┃○ 名人位奪取
2017 名人戦 ●○●○┃○○ 名人位防衛
2018 名人戦 ●○●○┃○○ 名人位防衛
2019 名人戦 ●┃????

これをみると「第一局は必ず負け、第二局は必ず勝ち、そして、第四局を勝つとタイトル獲得、負ければ敗退」ということがよくわかる。今回もジンクス通りのスタートだ。豊島よ、勝って兜の緒を締めよ。先手豊島で2時間差があったら、神様でもそう簡単には勝てない。絶対的な強さをほこる第二局で天彦が先手豊島に勝てるかどうかがこのシリーズの行方を決めるだろう。

かつて、羽生が竜王位の時、読売新聞に誰が挑戦者になると予想するか?と問われて「豊島八段だと思います。将棋の完成度がひときわ高いです」と答えたことを思い出す。羽生世代が表舞台から去った今、令和の時代を牽引するのは豊島、天彦、渡辺、広瀬、そして、若くて恐ろしく強い彼であろう。

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