前期4タテで豊島将之が名人位に就いて以来、約1年1ケ月ぶりの名人戦である。武漢ウイルス禍で2ケ月も開幕が遅れた。例年であれば佳境の進行であっただろうが、今年の将棋界は全てここから始まる。名人が決まらなければ順位戦も始まらない。
豊島将之vs渡辺明という、藤井聡太を除けば、これ以上ない最上級の顔合わせである。
振り駒で豊島名人の先手番。初手▲2六歩から角換わり腰掛銀へ。今年2月の叡王戦挑戦者決定三番勝負の先後逆形が現れた。豊島名人の▲4五歩からは新たな展開へ。
封じ手直前18時前の55手目、豊島名人がまたもや放った角打ち(▲4六角)。この角を生かすか殺すかで今後の形勢が決まりそうだ。中盤の難所で、形勢はほぼ互角。しかし、持ち時間は1時間51分差と豊島名人が多く消費している。一日目でこの差はあまり見たことがない。
56手目を渡辺三冠が封じて1日目終了。封じ手はおそらく△4三金、これ以外だと先手に形勢がふれる、となれば、その次を一晩考えられる豊島名人が有利とも考えられる。
それにしても渡辺明のマスクは斬新だぞ。藤井聡太との棋聖戦第1戦でなぜこのマスクをしなかったのか、途方もない奇手だ(苦笑)