20時22分渡辺明投了「タイトル戦で振り飛車でも戦えるというところを証明していきたい」王座挑戦を決めた久保利明九段の局後の言葉である。AI全盛になって居飛車が圧倒的にハバを利かすようになり久しい。私自身も実は振り飛車党で、当代きっての振り飛車の強者がタイトル戦に登場してくれるのは嬉しい限りである。
挑戦者決定戦の相手は渡辺明二冠、2018年度の第68期王将戦で0勝4敗のストレート負けでタイトルを失冠させられた相手である。居飛車振り飛車の対抗型で、主砲が向き合う飛車側からではなく玉側から戦いが起こるのが面白かった。久保利明九段の今日の四間飛車は金無双の構え。格好いいネーミングはないものか。
渡辺明の猛烈な粘りで玉頭から襲いかかる攻撃をしのいで、夕食休憩の時点では逆転されていたのだが、さばき粘りのアーティストの本領発揮、これがあるから通算タイトル獲得7期、一般棋戦優勝回数6回を誇れるのである。永瀬拓矢との番勝負、豊島竜王・名人が手を焼いているが、どんな将棋になるか今から楽しみである。