ウルトラマンにメガトン怪獣スカイドンというのがいた。ただ重いというだけで無敵のウルトラマンを窮地に追いつめた強敵である。重いというのはそれだけで大相撲でも他の格闘技でも大きなアドバンテージを得ている。将棋で言うと腰の重さ、対戦相手が音を上げるほどの強烈な受け将棋が相当するだろうか。古くは代名詞のようになっている大山康晴十五世名人、現在の若手で言えば、この人、永瀬拓矢七段であろう。何といっても著書が「負けない将棋」だったりするのだ。その永瀬の3回目のタイトル戦登場が決まった。菅井は王位を豊島に奪われた後であり、大いなるチャンスであったのだが。
永瀬の晴れ舞台は第87期棋聖戦(2016年度)第43期棋王戦(2017年度)に続く3年連続である。もはやノンタイトル若手では第一人者である。 棋聖戦では羽生善治棋聖相手に2勝3敗、棋王戦では渡辺明棋王相手に2勝3敗、いずれもフルセットの末に敗れている。今回は「最弱」タイトルホルダーの呼び声高い高見泰地叡王である。3度目の正直となる可能性が高い。
永瀬の末恐ろしさを感じたのは2015年3月21日将棋電王戦FINAL第2局Seleneとの対局だった。永瀬の角不成王手に対して、Seleneが王手放置した為の反則負けとなり、団体戦となってからの電王戦で初となるプロ棋士側2勝目をもたらした。あのシーンは今思い出しても鳥肌がたつ。相手陣に突入した角が裏返らなかった。すかさず、永瀬が運営・審判団に「これ、放っておくと投了しますよ」と告げた。何を言っているかわからなかった。実は永瀬はSeleneのバグを既に把握し、開局後3手目に勝ってしまうこともできたのだ。しかし、自陣の勝勢を確定させてから伝家の宝刀を抜いたわけである。凄えよ。
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