第32期竜王戦七番勝負第1局第2日 苦しい将棋を勝ちに結びつけ、まずは豊島名人の1勝

対局場のセルリアンタワー能楽堂は最近では竜王戦の第1局の舞台に使われることが多い。非常にカラフルで印象的な対局場である。能を舞うところで将棋の対局とは実に粋である。対広瀬竜王の連敗とタイトル戦でのそれを、それぞれ4と2で止めて、豊島名人も一息ついているところではあるまいか。

65手目の▲2四桂が空振りになって以降は苦しい展開がずっと続いていたが、封じ手の▲9九飛あたりからも我慢に我慢を重ねて辛抱を実らせた。広瀬竜王の逆転負けとは珍しいものをみた気がする。▲7七歩も印象的だ。自分には絶対にあの歩は打てない(←当たり前なんだが)

最終盤も高難度である。自玉の不詰を読みきるのは敵玉の詰めを読みきる以上の力が必要だと思うのだが、その震えに打ち克って勝ちきるフィーリングをつかめば、竜王奪取は問題なかろう。長考後のあれ?という手がなかったのも、木村に敗れた王位戦の第6局、第7局とは違う。

強力台風襲来の中、AbemaTVは解説なし、ニコ生にいたっては放送すらなし、しかも渋谷区には避難勧告が出ている中、緒戦から息をつまらせる熱戦を堪能できて幸せである。

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