名人位の行方が定まってしまったかのような第4局、将棋そのものは見所が多すぎてわけわからん 第79期名人戦七番勝負

斎藤慎太郎八段(命名した中村桃子女流初段に敬意を表してさいたろう八段と呼称している)が盤面形勢を逆転して勝利に近づいていたが、時間に追われそのまま勝ちきるわけにもいかず、結局は渡辺明の勝ち。全体を通して互角の形勢が長く、人間には読み切れずAI判定もソフトによって異なる、という難しい終盤を堪能することができた。渡辺明が勝ってしまって、彼にはわだかまりが残っている私にとっては苦々しい一局である。⇒こちら

ネタバレのようにもなるが渡辺明本人の言葉で解説してもらった昨日記載の場面の解説⇒渡辺明ブログ 名人戦第4局。

1.▲34角が効くかどうかが焦点だったが、残り40分で断念し粘る方針に切替
2.▲34角の成否を考えたのは正味、1時間くらい。
3.結果的には1分将棋までいってるので、ここの判断は妥当だった。
4.AIによれば▲34角△43金▲64桂以下、絶妙風の手順で先手がいい。
5.角を切ってから▲56銀上と手を戻すのは発想になく、手順もリスキー。
6.結局、すぐには負けない本譜に行き着く気がする。

見事である。棋力そのものに加えて消費残り時間のマネジメントが上手いと言わざるを得ない。第1局は自身が消費時間を枯渇させられて敗れている。渡辺明には「名人」をつけて呼びたくはないが、これらの判断が出来ることで藤井聡太とは異なる強さを発揮していると思う。実は藤井聡太も序中盤で相手棋士よりも大量に時間を使う傾向がある。それでも終盤で滅多に間違えない人外ぶりを発揮しているのだが、こうなると次の棋聖戦はとんでもなくエキサイティングな攻防が展開されるのではないかと今から胸が熱いのだ。

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