まだまだシリーズ全体の流れを云々できる段階ではないが、糸谷八段が先手、しかも作戦勝ちしていた渡辺明棋王から逆転で1勝をあげたことで、この棋王戦は大変面白いことになってきた。ただの1勝であれば、昨年の本田奎五段が相掛かりで 詰んでいないものを詰んでいると断定して勝ちきった一局があった。しかし、第2局も糸谷八段が勝つようだと棋界に烈震が走るだろう。
中盤の糸谷八段のさばきが見事で、飛車をいじめて中段玉としたところで流れが変わってきたようだ。あんな陣形で何で勝てるのだ、と感服してしまった。糸谷流の面目躍如である。渡辺明相手に時間攻めを食らわせたのはなかなか痛快だった。元竜王同士の戦いはこれから大いに期待できる。王将戦がワンサイドで終わりかねない現時点では少しでも渡辺明に消耗してもらわないと。