朝から梅雨っぽい天気。雨はじゃんじゃん降って湿気ジメジメ。紛れもない梅雨だ。
こっちに引っ越してきて以来ずっとお世話になっている、ホンダのディーラーへと出かける。15年以上乗ってきた愛車(といっていいだろう)FIT(フィット)を売ることにしたのだ(CMソングはてっきり山下達郎が歌っていると思いこんでいたが、曲がシュガーベイブということから、ぼくが勝手に勘違いしていたらしい)。
クルマを売る理由はいくつかある。今年の4月に親父が死んでしまって、実家に帰ることもさらに少なくなり、家族で初中終出かけていたキャンプもぼく自身だいぶ瘧(おこり)が落ちてきたこともある。
さらには、子どもたちがクルマが苦手で、とくに下の息子はクルマ特有の〈臭気〉が苦手、遠乗りにはずいぶん抵抗する。娘も息子も大きくなって、公共交通機関でもじゅうぶんにあちこちに出かけることができるし。
こうなると、ただでさえ〈週末ドライバ〉だっのたが、さらに〈月イチドライバ〉程度になってしまって、クルマを維持することの意味が薄れてきていた。なんていうと、FITに申し訳ないのだが。
15年で走行距離は4万キロにも届かなかったから推して知るべしなんだが、いろいろと面白いところに行かせてもらった記憶がある。
愛車なんだよなあ。
ディーラーを去るときには、やっぱり寂しかったです、正直。
「売るにはまだいろいろと手続きがあって、2週間くらいはここにクルマは置いてありますから」と営業くんは言ってくれる。
嬉しいけど、きっともう訪れないだろう。
帰宅してから、地元の図書館に立ち寄って、予約していた芥川賞候補作のひとつを借りてくる。
李琴峰(り・ことみ)「彼岸花が咲く島」だ。
一読、世界観のプロットを読まされただけの読後感しかない。ま、これが芥川賞候補作でなければこちらは途中退場するだけだが、候補作となると話は違う。微温的な、あまりに微温的な。そんな感じでしかない。この作品を基準点とする。