今年1月、映画音楽の大巨匠であるジョン・ウィリアムズがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を初めて指揮した演奏会があった。そして、それを収めたCDとBlu-rayが今月の中旬に、ドイツ・グラモフォンから世界同時発売されたのである。
僕は先達て、そのCDとBlu-rayのセットをポチっておいた。その際には、輸入盤と日本国内盤とで少し迷ったけれども、前者の方が安価だ。しかも、貰ったばかりのポイントを全部使えば、それがほぼ半額になる。
あと、輸入盤ではブックレットの解説や特典のインタビュー映像に日本語がないけれども、その方が却って勉強になるだろうとも考えた。そして、先日『ジョン・ウィリアムズ ライブ・イン・ウィーン』の輸入盤が届いたのだ。
トップの写真は、紙製ケースのおもて面である。下は裏面。この演奏会では、トップ・ヴァイオリニストであるアンネ=ゾフィー・ムターがソリストとして参加しており、青いドレスを着たムターもジョン・ウィリアムズと並んでフィーチャーされている。
早速、開封してみると、観音開きに開けるパッケージには、ウィーン・フィルハーモニーとジョン・ウィリアムズ、そしてアンネ=ゾフィー・ムターの写る写真が何枚も大きくプリントされていて、実に華やかである。
「黄金のホール」と称される、ウィーン楽友協会大ホールの内部が如何にも煌びやかだ。このホールは、お正月にNHKで放映される「ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート」の会場でもあるので、気分が否が応でも盛り上がるw
ブックレットの解説は、英語とドイツ語の順で掲載。ドイツ語が原文で、英語の方は翻訳のようである。文章は比較的平易で読みやすいと思う。
ケースを中まで開くと、4面の見開きとなり、左右にCDとBlu-rayが収められている。これだけ華やかな写真を何枚も見ていると、自分もこの会場の中へ溶け込んでいくような気分になるのだ。では早速、Blu-rayを再生してみる…。
Blu-rayには、演奏会の模様(全19曲)だけでなく、ジョン・ウィリアムズとムターの対談映像、それからCDと同じ曲目(全13曲)で音声のみが収録されているトラックもあるのだ。
上の写真は、Blu-rayで音声のみのトラックを再生しているところ。ドルビーATOMOSやDTS-HDマスターで聴くことが出来るので、CDを遥かに超える音質を楽しめる。
Blu-rayでは、文字通り、オーケストラの音に「囲まれる」体験の出来るサラウンドが圧巻。映像つきの方では、聴衆の様子も含め、ニューイヤーコンサートの開かれるこのホールの光景が具に見られるのも楽しい。
また、特典映像の対談では、ムターが非常に流暢な英語で、実に楽しそうにジョン・ウィリアムズとお話ししているのが印象的だった。写真などで見ると実にクールな感じがするのだけれども、意外と陽気な人なんだなあw…と感じたのである。
なお、ムターは、3月に新型コロナに罹っていたらしい。他の情報によると、4月には無事に回復したようである。この方は、ヴァイオリン界では世界の至宝のおひとりなので、何事もなく良かったと思う…。
(出典:朝日新聞デジタル)
それにしても、ウィーン・フィルハーモニーの演奏は流石に素晴らしい。やはり他のオーケストラの演奏とはひと味もふた味も違うようだ。あらゆるパートに抜群の安定感がある。特にホルンなど金管の音の張りが心地よく感じられた。
但し、やはり映画音楽というよりは、ある種のクラシック音楽の演奏を聴いているかのようでもある。いずれの楽音も非常に極立って聴こえるからだ。あと、この演奏会特有のテンポ感がそう思わせるのかも知れない。
しかしながら、映画音楽界の至宝も御歳90を前にして、歴史が永遠に記憶するであろう演奏を残すことが出来て感慨無量なのではなかろうかと拝察する。
僕は普段、人類が少なくとも100年以上は愛好して鑑賞し続けるものでなければ、それが何であれ「芸術」であるとは言えないだろうと考えている。
こうして、今やジョン・ウィリアムズの映画音楽は芸術へと昇華していったのではなかろうか。この演奏を聴いて、そんなことを思ったのである…。
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さて、今回、初めて輸入盤のBlu-rayを購入しました。その際に、実はひとつのことで僕の中に逡巡があったのです。NTSCやPALという映像フォーマットの問題です。DVDであれ昔のVHSビデオであれ、この問題がいつも付き纏っていました。あと、DVDとBlu-rayにはリージョンコードという別の懸念もあります。しかし、音楽モノの場合にはリージョンフリーであることが殆どなので、今回のBlu-rayでもそれは気にしなかったのですけれども。
ともあれ、映像フォーマットですね。DVDであれば、PAL版を買ってしまってもPCで観ることは出来ます。しかし、僕はPC用のBlu-rayドライブを持っていないので、もし届いたBlu-rayがPAL版だったら、どうする?そこで調べてみることにしました。(例えば、こちらのサイトなど)
結論は至極、単純でした。Blu-rayには、NTSCやらPALやらといったような映像フォーマットの区分が(一部を除いて)もう無いということなのでした。嗚呼よかった。これで今回は安心して輸入盤のBlu-rayとCDのセットを買うことが出来たという訳なのです。ひとつ勉強になりました…w
『ライヴ・イン・ウィーン デラックス版』
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