学校の先生にいじらせて貰ったパソコン(当時はマイコンと呼んでいた)に感化され、僕は、高校に受かったらパソコンを買ってくれー、と親にリクエストしたのである…というのが前回のお話。
父は電気工学系の人なので、コンピューターに関して理解があったのが幸いしたのだろう。僕の要求を(珍しく?)すんなり承諾してくれたのである。ある時、仕事で東京まで出張した折に、秋葉原まで足を延ばして、NECのパソコンのカタログを持ち帰って来たこともあったくらいだ。
そこで、僕が狙いを定めていた機種は、学校の先生が使っていたのと同じPC-6001ではなかった。もっと高性能な、上位の機種があることを、僕は知っていたのである。
PC-8801mkIISRという、当時のNECの8ビットマシンの中では、最新で最上位の機種を父にリクエストした。今から思うと、実に怖いもの知らずのお願いだったと思う。PC-6001とは本体の定価が3倍近くも違うのだ。PC-88ならば、本体と専用のモニターディスプレイで、合わせて40万円近くしたのではないだろうか。
(NECのPC-8801mkIISR、出典:「なつかしのパーソナルコンピュータ」)
それとも、PC-88よりはだいぶ廉価のPC-6601SRという機種にしようか、と僕はかなり迷っていた頃もあった。PC-66は、PC-88の半分ちょっとくらいの本体価格だった。安い方は、性能がだいぶ落ちるけれども、何か取っつき安そうな魅力を感じていたのだ。
でも、ある時、同様に工学系である親戚のお兄さんが、「PC-66シリーズよりPC-88シリーズの方がずっと良いよ。PC-88の方にしておきなよ」と言うので、僕は結局アッサリとPC-8801mkIISRの側に転んだのだw
実際に、その選択で正解だった。この後、パソコン市場はスペック競争へと突入し、高機能のPC-88シリーズは生き残り、一方でPC-66シリーズは淘汰されていったからだ。
それから、もしパソコンを買って貰ったら実際にやってみたいことを、僕は前もって3つ考えておいた。これは、父にも書いて伝えた事柄である。
ひとつ目は、プログラミングを練習すること、2つ目は、その当時流行り始めていた、パソコンゲームをやること。
そして、3つ目は、当時まだNECの最新型のパソコンにしか搭載されていなかった、FM音源という、YAMAHA製のデジタルシンセサイザーをいじってみる、ということだ。
(PC-8801mkIISRに付属していたデモディスクの動画。FM音源の自動演奏を聴くことができる。まだチープな音だけれども、買って貰った当時は、嬉しくてこのデモを何回も鑑賞したなあ…)
結局のところ、これら3つの目的のうち、プログラミングの練習は中途半端で終わったようなものだった。でも、あとの残り2つの目的に、高校時代の(今から思うと)決して少なくはなかった時間が費やされていったのである…。(次回に、つづく)
(いちばん上の写真は、パソコン用のテープレコーダー。当時は「データーレコーダー」と呼ばれた。高校2年の時に、初めてのアルバイトで買ったのだ。AIWA製で、カセットテープの信号をデジタル処理するという触れ込みの、ちょっと変わった機種だった。結局あまり使う機会はなかったのだけれども、今でも、こうして手元に取っておいてある)
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こちらの本は、80年代のパソコンゲームの内容が中心。懐かし度は、前作よりもこちらの方が高いかも。写真は、またモノクロ掲載。でも、じっと眺めていると、当時の記憶や空気感までもが蘇ってくるから不思議だw
佐々木潤著『レジェンド パソコンゲーム80年代記』
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