僕のパソコン80年代記…PC-88編(4)

昨日組み立てた天体望遠鏡だけれども、その後、日中の周囲の風景などを撮影してみた。上手くいったのである。
でも、せっかくだから、何か星か月の写真も撮ってみて、それを次の投稿に載せよう、と考えていたのに、あいにくと曇りだったのだ…。この望遠鏡を使った天体写真撮影の挑戦は、また日を改めたいと思う。

従って、今日は天体望遠鏡のお話の続きではなく、先達て第3回まで書いたパソコンについて…と言っても、80年代から大活躍されている、あるゲームミュージック・コンポーザーについて、なのである。それは、古代祐三(こしろゆうぞう)さんだ。(上の写真は、古代さんの80~90年代のCD。実にイケメンなのである)

以前も書いたように、ゲーム制作の中では一般的に、音楽や効果音などサウンド関係を担当する人のことを、サウンドクリエイターと呼ぶ。かつて僕も、その内のひとりだった。
でも、今回お話する、古代祐三さんについて言えば、ゲームミュージック・コンポーザーと言われることが多い。『マイコンBASICマガジン』(「ベーマガ」)の人気ライターであった、ゲーム評論家の山下章さんも、古代さんのことをずっとそのように呼んでいると思う。
つまり、古代祐三さんは、ゲーム用の音の作り手というよりは、むしろ作曲家として認知されている、ということを意味しているのだろう、と僕なんかは考えるのである。そのくらいに、古代さんの作曲に関するセンスとテクニックは卓抜しているのだ。


(佐々木潤著『レジェンド パソコンゲーム80年代記』より。やはり「作曲家」と書いてある)

でも、古代祐三さんは、80年代から90年代にかけてのFM音源全盛の頃から、ゲーム業界では最高レベルの音源の使い手のひとりとしても、同様に名を馳せていた。その後、ゲーム音楽の主流がFM音源からPCM音源の時代へと移っても、古代さんの持つ技術力は依然として他を圧倒していたのである。
これは、つまり、古代祐三さんは、作曲家としての領域に留まらず、シンセサイザー・プログラマー(マニピュレーターとも言う)としても非常に優れている、ということを意味している。
だから、ゲームミュージック・コンポーザーと(限定的に)呼ぶよりは、(総合的な)サウンドクリエイターとお呼びした方が相応しいような気がするのだけれども、僕も含めて誰もがみな大抵、古代祐三さんのことをゲームミュージック・コンポーザーと呼ぶのである。ちょっと不思議なことだw

いや、それ程までに、古代さんが作曲した音楽は、聴く人たちの印象に残るということなのだろう。とにかく、ジャンルが多彩で、そのサウンドが実に幅広いのである。
ちょっと思いつくだけでも、ロック、ポップス、ダンスミュージック、オーケストラ音楽などなど、ゲームの内容に合わせて、様々な種類の音楽を高水準で制作する。では、YouTubeを使って、少し例を挙げてみよう…


これは、かつて新海誠監督も在籍していたという日本ファルコムの、『イースII』というパソコンゲームのオープニングムービーである。1988年頃の作品。このオープニング曲は、古代さんのFM音源時代の代表作のひとつだと思う。下の動画は、僕も所有していた、NECのPC-8801mkIISR版のもの。『イースII』のオープニングには、当時誰もが度肝を抜かれたものだ。ああ何度見ても、懐かしい…。


ちなみに、新海誠監督は在職中に、上のムービーのリメイクを手掛けたことがある。その動画は、こちら。2000年頃の制作らしい。女の子の切なげな描き方や、鳥が飛ぶシーン、そして音楽と映像を完璧にシンクロさせるところなど、新海監督の作風がよく出ていますw


そして、古代さんのオーケストラ音楽といえば、スーパーファミコンの『アクトレイザー』だ。1990年の作品。こちらは、FM音源等からやや時代が変わって、サンプリング(PCM音源)となっている。この作品でも例に漏れず、作曲だけでなく、音色の作成なども古代さんが自ら全て行なったとか。そういった凡ゆる技術も持ち合わせた、ゲームミュージック・コンポーザーなのである。


ダンスミュージックというジャンルでは、古代さんにはこれまた色々な作品があると思うけれども、格闘ゲームの『ベアナックル』は、どうだろうか。そういえば、80年代当時、「ベーマガ」誌上で、古代さんが「横田米軍基地のディスコに遊びに行くこともあります」と書いていたのを、僕はよく覚えている。古代さんは、こうしてダンスミュージックにもまた、造詣が深いのだ。

とりあえず幾つかの作品を挙げてみたけれども、これだけではまだまだ足りないくらいに、古代祐三さんは現在も幅広くご活躍中なのである。…という訳で、今回はPC-88から少し話が逸れていったのだけれども、ゲーム音楽界の第一人者のおひとり、古代祐三さんをご紹介いたしました。

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上でご紹介し切れなかったけれども、『ザ・スキーム』も古代さんの代表作のひとつ。これは、ゲームソフトそのものよりも、このサントラCDの方が多く売れたという逸話が残っているくらい。あと、このCDの中には、古代さんの音楽の師匠である、久石譲さんから「良いメロディだね」と褒められた曲があるという噂も…。

『レジェンド 80’S「ザ・スキーム サウンドトラック」』
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