前回の投稿で書いたように、きのうは塾の仕事が休みだったので、幾つかやろうと思っていたことをやってみることにした。
…とは言ってみたものの、結局、ひとつかふたつくらいしか出来なかったのだけれども。やっぱり、1日が24時間そこそこでは到底足りないのであるw
先達て、冨田勲氏のCDの中から見つけた音楽データのファイルをシンセサイザーで鳴らしてみたのだ。曲は、バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」である。やっと、この作業に着手できたというわけだ。
取り敢えず、うちにある3台のシンセサイザーを取っ替え引っ換え繋いで、次々に音色を変えていってみる。元がオルガンの音楽なので、パイプオルガンの音色がいちばん似合うのは当たり前w それ以外にも何か良い音がないだろうか…と探した。
冨田氏のイメージで、宇宙っぽいキラキラしたような、若しくはボワーンとしたような音色で良いかも知れないけれども、いかんせん7分半もある長尺の曲だ。派手な外連味のある音色をただ当てがっただけでは、聴いている途中でちょっと飽きてきてしまうw
そういえば、CDのライナーノーツで冨田氏がこの曲を「大オーケストラにするもよし」と書かれていたので、じゃあオーケストラ風の音色はどうだろうか?とも考えた。シンセには、一音色だけでオケ風に聞こえてしまうような音もプリセットされているのだ。
そんな観点で選んだのが、ヤマハのEOS B900というシンセサイザーに入っていた音色だった。このB900は、僕のお気に入りのシンセのひとつ。彼此20年以上前に「小室哲哉プロデュース」と銘打って発売された機種なのだ。
(出典:YAMAHA 製品情報 「EOS B900」)
このシンセの中に、「Symphony」という名前の音色が登録されている。これは、その名の通り、弦楽器と管楽器の音を混ぜ、更にキーを叩いた強さによってはティンパニの音も鳴るという、シンフォニックで欲張りな音色なのであるw
これで「トッカータとフーガ」を演奏させると、如何にもゴージャスな擬似オーケストラが実現した。冨田氏は曲の展開に合わせて、鍵盤を叩く強さを表すデータ(ベロシティという)の値を色々と変化させて打ち込んでおられた。
それに応じて音色が、弦楽器・管楽器、果てはティンパニという具合に刻々と変化する。なるほど、これならば上に書いたような、ただキラキラ…とかブワーンとかいうような音色で鳴らすよりは遥かに聞き応えがあるものとなった。
若干、意図せぬところでティンパニが鳴ってしまう箇所だけベロシティの値を修正した以外は、冨田勲氏の制作したデータのままとした。冨田氏独特のテンポ感と大きなダイナミクスを感じて頂けたら、と思う。バッハの目くるめくフーガの世界をご堪能あれ…。
こうして、CDに収録されていたデータを見つけたことをきっかけとして、時間を超えて間接的に冨田勲氏とコラボ(?)が出来たような気がする。実に、嬉しいことだと感じる。
実は、この曲の録音とアップロードに案外と手間取ってしまった。それで、きのうの投稿には載せることが出来なかったのである。でも、トータルで約半日近くも掛けた甲斐のある作業であった。こんな音楽体験もまた、実に良いものだと思う…。
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僕が二十代の頃から愛聴している、冨田勲先生のCDはこちら。電波望遠鏡が捉えた宇宙からの波形(プラズマ)をシンセサイザーに取り込んで音色を作り、それでクラシックの名曲を演奏するという壮大なコンセプトのアルバムです。謂わば、シンセサイザーで再現した管弦楽のサウンドなのですが、生のオーケストラの音楽を聴くのとは全く別種の魅力がそこにあると言って良いでしょう。僕も、今回のEOS B900の音色を利用した「擬似管弦楽」をちょっとシリーズ化してみようかな…と思ってみたりして…。
冨田勲&プラズマ・シンフォニー・オーケストラ『ドーン・コーラス』
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