天に昇らんばかりの朝顔。これこそ、まさしくあの「ヘヴンリー・ブルー(天上の青)」なのか…

近頃は夜明けがすっかりと遅くなった。1〜2ヶ月くらい前など、午前4時半といえばもう薄明るかったものだけれども、今では、日の出の時刻が5時を過ぎている。このように日が段々と短くなって来ているのである。秋は着実に、近付いているのだろう。

何日か前、そんな仄暗い早朝に自転車で走っていると、屋根の上まで蔓草が長く伸びた家があることに気付いた。随分と蔦が成長してしまったんだろうな、と思って僕は通り過ぎたのだ。

ところが、帰り道に同じ家のそばを再び通ると、今度は明るい陽光の下に青い朝顔が満開に咲いていたのだった。あれは蔦ではなかったのだ。少しでも高く陽の恵みを享受せんかとするように、朝顔は存分に伸び、精一杯に花開いていた。

その日はカメラの持ち合わせがなかったので、僕は数日間、眺めるだけでやり過ごした。後日、やっと撮ることが出来たというわけである。

この家の軒下の土から生え、壁を伝い、屋根を上り、アンテナのポールやワイヤーに巻きついて天を目指す朝顔の真っ青な花弁が、盛夏の空に良く映えている。まだ暫く、こうして通りゆく人々の目を楽しませてくれるのだろうなあ、と思う…。


大空に向かって真っ直ぐに伸びる青い朝顔の姿は、ずっと僕の中で何か、カチカチとクリックするものがあった。それが、あとでやっと思い出されたのである。十数年前に読んだ小説『天上の青』(上下2巻)だ。

作者は曽野綾子さん。作中に「ヘヴンリー・ブルー」という朝顔が登場する。僕が撮った朝顔たちもきっと、このヘヴンリー・ブルーなのだろう。季節の終わりまでどうか精一杯、咲き誇って欲しいと思う…。

では、皆さま、良い週末をお過ごし下さいませ…。

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