高尾山を登り、その後、隣の小仏城山も登頂した。次は、更に隣の山である、景信山を目指す。この山登り日記は、これで第6回になるだろうか。(投稿の一覧は、こちら)
ここまでで、出発地点である京王線の高尾山口駅からの距離は約5.5km、時間にして丁度5時間だ。時折、写真を撮ったり、ベンチで休憩したり食事をしたりの時間も全て含んでいるので、まあ時間的なペースとしてはこんなもんだろう、と思う。
ここから、更に約4kmの行程で、景信山の山頂まで行って、最後に下山する。事前の計算では、夕方までには十分に下山し終えることが出来る筈なのである。体力的にも、まだまだ行けるという感触だ。
さて、小仏城山で10分ほど休憩し、山頂を見て回ってから、僕は出発した。大きなアンテナのある建物の脇に、登山道がある。またこれまでとは打って変わって、深い森の中へ、そのまま真っ直ぐに飛び込んでいくような道である。
トップの写真が、景信山へと至る登山道の入り口付近。下には笹の葉が繁り、上を見ると、針葉樹林が聳える。またまた引き合いに出すけれども、僕にとっては懐かしい、木曽の裏山の原風景だ。
どうやら、石畳や丸太でひとつひとつ誂えたような階段は、この登山道にはなさそうだ。野山を分け入って進んで行くことになるのだろう。しかし、これを踏破して山頂に辿り着けば、きっとビールが飲めるのだw
そんな風に、自らを鼓舞しながら進む。途中には、山火事を防ぐために、防火用水が設置されていた。山にとって、最も恐ろしいのは、火事である。木曽の裏山にも、タバコの火に注意、という看板が至る所に設置してあったものだ。
暫くは、平坦または下りの登山道だったけれども、徐々に上り坂となってきた。それに従って、下の写真のような、地面を深く抉った道になってきたのである。
この道の形を見ただけで、先人たちの苦労が偲ばれる思いがする。きっと、何人もの人夫たちが、スコップを持って、土を掻き分けて行ったのだろう。ときには、目の前を横断する太い木の根を切りながら…。
時折見かける標識には、登山道の形を変えてはいけません、という趣旨の文言が書かれていた。つまり、勝手に土や石などを掘って道を改変してはいけないということである。現状が、ベストの形をした登山道なのだ。
さて、出発してから15〜20分くらいで、下の写真のような平地に出た。小仏峠である。奥に、建物のようなものが見えたので、お茶屋さんがあるのかな、と思ったのだけれども、これは廃屋であった。
きっと、以前は、ここが休憩場所として賑わっていたのだろう。そういえば、小仏城山を登るときには、同じ方向または反対の方向で歩いている人たちが何人もいたものだったけれども、景信山では殆ど人を見かけていない。
従って、僕は山に籠って修行をする孤高の行者になったようなつもりで、黙々と歩いて来た。この山は、これまでよりも更に森林が深いので、自然とそのような求道的な気分になってしまう。
また、この小仏峠には、明治天皇巡幸記念碑が建っていた。少なくとも、明治の頃までは、峠越えの旅人たちで、お茶屋さんが繁盛していたのだろう。きっと、皆は団子でも食べて休んでいたのかも知れない。つい、そんな想像をしたのである。
それから、何故か、信楽焼の狸が幾つか置いてあった。あとは、安全祈願なのか、崖に近いところに、お地蔵さんも安置されていた。
さて、僕は休憩を入れず、このまま歩き続ける。登山道は、左手が奈落の、文字通り崖っぷちになってきた。登山らしくなって、益々ワクワクしてくるw
斯様にして、足下がやや不安定さを増してくるので、下をよく見ながら歩みを進めた。すると、この場に相応しい、丁度良いものを拾ったのである。1mくらいの長さの、湾曲した木の枝だ。
この後は、これを杖として利用しながら歩くことにした。例えば、急斜面を上り下りする際に、これをつっかえ棒にして身体を支えるのである。湾曲しているせいか、しなりも実に良い。
この枝を相棒にしながら、僕は更に進む。登山道は、更に急斜面になってきた。流石、高尾山や小仏城山よりも高い山である。そうそう楽チンには登らせてくれないのだ…。
そんな中、登山道の地面に、上の写真のような石碑が埋め込まれていた。やや読みにくいけれども、右側には高尾山口から8.0kmとある。つまり、この時点で僕は、スタート地点から起算して丁度8kmを歩いたのだ。
左側には、陣場高原まで11.0kmと記されている。つまり、景信山の更に向こうに聳える陣場山まで、何と11kmもあるのだ。僕は、流石にそこまで行く予定はないのだけれども、陣場山は実に遠いところにあるのだなあ、という思いは新たにした…。
さてさて、この後、崖の向こうに見える眺望を楽しみながら、僕は遂に、景信山の山頂に立った。1日のうちに、高尾山、小仏城山、景信山の3つの山を登頂したのだ。
さて、その景信山の山頂は、如何に?僕は、再び冷えたビールにありつくことが出来たのか?では、つづきは、後ほど…。
……