きょうは皆既月食の晩であった。生憎と塾の仕事がある日なので、うちでずっと観察していることは出来ない。従って、ニコン P900を持って出掛けることにした。しかしながら、それよりも雲行きがどうも、まだ明るい時分からすっきりとしなかったのである。
皆既食が見られるのは午後8時過ぎくらいから。生徒たちも授業前から、この時間になるのを楽しみにしていたようだった。ちょうど、授業が休み時間の頃だったので、皆んなで建物の外に出て南東の方角を観察した。
でも、ビルの合間から幾ら注視しても赤銅色の月面は見当たらない。場所が悪いのかと思い、少し移動して景色を変えた。でも見つからない。薄雲が案外と濃く、皆既食はかき消されてしまっているようであった。実に残念である。
さて、授業が終わって帰る頃には、部分食となった半月状の朧月が雲間から見えた。しかし、相当にぼんやりとしながら。
道行く人たちが時折立ち止まってスマホのレンズを空に向けている。あれほどの小さなレンズで且つ手持ちで撮って、どの程度に写るのだろうか…と、ふと思う。
結果的に、持って歩いたP900は出先で使わず、うちに帰ってから撮った。雲が幾分引いた頃合いを狙って撮影に挑んだのである。部分食が終わる十数分前の、午後9時39分だった。もう半分以上ふくらんで、あと一口分だけ残すのみ、といったところだろうか。
ベランダに、かみさんと娘も出てきた。あっ、見える見える、と言っている。本当は、皆既食の赤銅色の月面がいちばん面白いのに、天の采配はいつもながら少々意地悪であるw そんな肝心の部分は結局、今回は雲に秘匿されてしまったのだ…。
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