トップの写真は、黒板の落書きである。
僕の中1クラスにいる女子生徒のひとりが、先週の授業後に書き残していった。なんか、ちょっと面白いことでも書いてみたかったらしい。このあと、もうすこし色々と書き加えていたのだけれども、それは撮らなかった。
このクラスでは、授業の話が横道に逸れることが時折ある。その中のお話をひとつ。それは、現在開催されているオリンピックに関することである。
男子生徒のひとりが、「オリンピックは、誰に注目していますか?」と僕に尋ねてきた。彼は、実に発言の多い生徒なのである。但し、不規則発言も多いw
僕は答えた。「うちはTVを殆ど見ないからねえ。オリンピックで何が起きているのか、実はよく知らないんだよ…」すると、皆が「えー」と一斉に声をあげる。思った通りの反応だw
どのくらい、このオリンピックについて知らないのか、ということを表すエピソードがある。僕の中3の娘の話である。
娘は、10日くらい前、学校で友達同士が「ピョンチャンオリンピックが、ナントカカントカ」と話をしているのを耳にしたのだそうだ。そして、「ピョンチャン」という語から、あることを想像した。
うさぎがオリンピックの競技を行なっているのをイメージしたのだそうであるw それで娘は(よせば良かったのに)友達に、「え?何なに、そのうさぎのオリンピックって…?」と話しかけてしまったと言うのだ。
びっくりしたのは、その友達の方である。そして、「韓国のオリンピックのことだよー。知らないのー?」と言われたのだそうだ。娘は、夕食のときに、その出来事を面白そうに話した。
娘のその話を聞いて、なるほど…と思ったのは、僕だった。僕は、時事ニュースのソースは殆ど全てがネットの記事である。TVやラジオのような音声でニュースを見聞きすることは、滅多に無いと言っていい。
今回の冬季オリンピックのニュースについても、「平昌オリンピック」のように文字で見出しなどを目にしていた程度。僕は普段、スポーツニュースには興味をほぼ示さないので、記事も読んでいない。
夕食を食べながら娘の話を聞いて、僕はそのとき初めて、「平昌」を「ピョンチャン」と読むのだということを知ったのである。それまでは、訓読みで何となく「ひらまさ」のように黙読していた。
なるほど、ピョンヤンのピョンも「平」である。「昌」はチャンと読むのか…などと、ご飯を咀嚼しながら考えた。僕は、中国語は多少理解するけれども、韓国語の知識は皆無に等しい。
娘の話のあと、「そうか、僕も知らなかったよ」と言ったら、やはり息子も知らなかったと言う。高校の友達とは、スポーツの話はしないのだそうだ。そんなところも、僕とよく似ているw
かみさんは、辛うじて知っていた(「ああ、そうだったかもね」という程度)。デイサービス関係の仕事をしているので、特に老人と話をよくする。スポーツの話題も多いのだそうだ。でも、娘の話には、家族全員で笑った。
…と言うような話を手短に、授業の中の横道として語ったのである。このクラスの生徒たち(十数人)は、一様に呆気にとられ、そのあと爆笑となった。時あたかも、オリンピックがもう真っ最中だったのだ。
…
最近撮った、航空機の写真をひとつ。
日中、ベランダから外を眺めていたら、比較的低い仰角高度で水平に伸びる飛行機雲を見た。滅多に無いことである。抜けるように晴れ渡った青空を、まるで切り裂くかのように白く細い雲が走る。
僕は慌てて、家の中に戻り、ニコン P900を手にした。出来る限りズームしてファインダーを覗けども、飛行機雲の先にある筈の機体は、なかなか見えてこない。太陽光の角度のせいだろうか。
そこを何枚か撮影し、あとで見返してみた。どうにか機体が判別できそうな写真は、これだった。
こうして写真を見ると、主翼も尾翼も見て取れる。垂直尾翼には、航空会社が判別できそうなくらいに、何か模様が見える。しかし、撮影中は斜めからさす日光が眩しかったせいもあって、ここまではっきりと見えてはいなかったのだ。
正直に言うと、そのときまではロケットかミサイルなのではないか、とまで一瞬頭の中で想像した。余りにも荒唐無稽(…でもないのかも知れないけれども、昨今)なので、すぐに自己否定したけれども。翼が確認できなくて、ただ細長い胴体だけのように見えていたからである。
まあ、ロケットやらミサイルやらが、こんな風に水平飛行する筈もなく、よくよく写真を見て、尚且つ後からリアルタイム航空情報アプリ「フライトレーダー24」で調べてみたところ、これは普通の旅客機だと分かったのだった。
ホノルル発、上海行きの中国東方航空機、ボーイング777である。東京湾上空を飛行中だったようだ。こうして、知って仕舞えば、なあんだという感じである。
ただ、撮影前やその最中は、機体が遥か遠方を飛んでいたせいもあり、ジェット音など全く聞こえず、ただただ無言のうちに飛行機雲を伸ばすこの姿が、やけに不気味に思えたのだった。旅客機を普段見かけるような仰角ではなかったせいも、多分にあっただろう。
そんな訳で、ひとりでハラハラしながらジェット旅客機の写真や動画を望遠で撮っていた、ある晴れた日の昼下がりなのであった…。
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