近頃は夜の明けるのが、だいぶ早くなってきた。午前4時を過ぎると、薄曇りの夜空は灰色がかった薄紫に染まる。日の出が近づいているからだ。
それから、4時半にもなれば、周囲はすっかり明るくなり、全周囲を見渡すことが出来る。自転車のライトなど全く必要がないくらいだ。嗚呼、朝が早く来るようになったなあ…と思う。
高所から東を遠く見渡すと、雲が茜に色づいている。地平線の下から既に太陽は、その光を空に柔らかく解き放ち始めているのだ。まだ幾分肌寒い空気の中、僕は自転車で坂を下りる。もう、上着は必要ない…。
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トップの写真は、先達ての土曜日の午前中に撮った。陽射しが強い上に、上空には大きな雲塊が集っている。層積雲だろうか?真横から陽を受けて、その厚みが殊更に強調されて見える。
これを撮ったときに、僕はつい夏の雷雲を想起した。でも、それと明らかに異なるのは、積乱雲が高空まで存分に背を伸ばすのに対して、この日の雲は比較的下層に留まっていたということだ。夏の時季ほどには上昇気流がまだ強くないからであろう。
さて、斯様に天気が良く、風もなかったので、トイドローンTELLOのちょっとしたカスタマイズを行うことにした。プロペラとゴム足の塗装である。下のように、青と赤の2色。100円ショップで小さなスプレー缶を買った。
何故、プロペラやゴム足に色を付けるのかと言うと、特に飛行中は、機体の前後が分かりにくくなるからだ。飛行機やヘリコプターと異なって、前もうしろも似たような形なので、下から見て区別がつきにくい。それが不便に感じられた。
TELLOの所有者の中には、同じような悩み(?)を持っている方がおられるようで、ゴム足の横に赤や緑のLEDを増設するというカスタマイズ法もあるようだ。ちょっとコストが掛かりそうだけれども、とても興味深い試みだと思う。
僕は取り敢えず、安価に済ませるところから手を付けていきたいので、こんな風に塗装をしてみるのである。プロペラは、楊枝に挿してから塗料を吹いた。それを上のように発泡スチロールに突き刺して乾燥。まるで、タケコプターみたいであるw
ゴム足は、本体から外して塗装しようと考えたけれども、なかなか取れない。従って、穴をあけた紙でゴム足以外をマスクするようにしてから、塗料をスプレーすることにした。方法は何であれ、色が付けば良いのであるw
そして、塗装後の状態が、上と下の2枚の写真。前のプロペラが青、うしろは赤という配色にした。もし出来れば、グレーのプロペラガードも何か別の色で塗ってみたかったのだけれども、それは今後のお楽しみに取っておこう…。
さて、こうして塗装も完成し、午後となった。早速、外へ飛ばしに行ったのだけれども、それについてはまた投稿を改めたいと思う。午前中の厚い雲の影響なのだろう、夕方から天候が急変したのである。今回は、それについて書いておきたい。
あの下層雲は、午後5時過ぎになって、とうとう狂を発(ほっ)した。天には文字通りの暗雲が立ち込め、ゴロゴロという低い唸りに大粒の雨が続いたのである。
僕は窓からニコン P900のレンズを突き出して、数分のあいだ断続的に南東の灰色の空を動画で撮影した。すると、画角ギリギリの上方で稲妻が走るのを見た。雷を撮るのは、半年振りくらいだと思う。
その瞬間、カメラの画面は薄紫色に乱れた。上空の雲も、その色に染まったかに見える。その中を横に白い稲光が突き抜けていった。その間、1秒にも満たない。きっと、0.5秒ですらないだろう…。
雨が一時的に激しくなったので、撮影はこれで切り上げてレンズを引っ込めた。雷が落ちたのは、これを含めて3〜4回だけだった。その後、雨は止み、空も再び凪いだのである。
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先日、ハードディスクビデオの中に録り溜めた番組を整理のために観ていたら、NHK-Eテレの「ネコメンタリー」という番組を見つけました。2年くらい前に放送されたものです。登場したのは、作家の角田光代さんと飼いねこのトト。その番組の中では更に、『任務十八年』という、ねこが主人公の短編が朗読されました。
書き出しは、「さて、任務が終わったので帰ることとなった。借りていた衣を脱いで、もといた場所に帰る。…」というものです。タイトルとこの文章から、どんな物語なのかは大方の予想がつきそうな感じです。しかし、そこは練達の書き手。ちゃーんと、心揺さぶられる物語に仕上がっていました。実に、素晴らしい。ちなみに、これは下のリンク先の文庫に「ボーナストラック短編小説」として収録されています。これは、まさしく珠玉の6ページですね…。
角田光代 著『今日も一日きみを見てた』 (角川文庫)
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